住宅の豆知識

ガスからオール電化に切り替えリフォームするメリットとは?

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2011年3月に発生した東日本大震災以降、日本全国の原子力発電所が運転を停止したことで2009年に導入された燃料費調整制度による調整額だけでは 発電に必要な燃料費をまかなうことができないと判断した電力会社が相次ぎました。

その結果、2008年まで ほぼ横ばいだった1世帯あたりの支払い電気料金が一気に跳ね上がり、2014年には家庭向けで平均25%も電気料金が上昇しました。

その後、原油価格の下落などにより2015年ごろから少しずつ支払い電気料金が下がりつつありましたが、2016年以降 再び原油価格が再上昇し さらに2020年末に襲った寒波や2050年の脱炭素社会に向けた動き、新型コロナウイルス禍からの経済回復によるエネルギー需要の高まりなどにより 火力発電の燃料となるLNG (液化天然ガス)や石炭などの輸入価格が高騰し 更なる支払い電気料金の値上げが予想されています。

そんななか、さいたま市では ガスからオール電化へと切り替えリフォーム・リノベーションを検討されているご家族が増えています。

なぜ 支払い電気料金の値上げが上昇する可能性のある このタイミングでガスからオール電化に切り替えリフォーム・リノベーションが注目されているのでしょうか。

オール電化とは

快適な日常生活を過ごすうえで欠かせない 調理・給湯・空調・換気・照明といった住宅内の生活ツールの熱源をすべて「電気」でまかなう仕組みを オール電化と言います。

ひとむかし前までは 電気とガスを併用する暮らしが一般的でした。しかし、2000年ごろから ガスを使わず 家庭で使用するエネルギーを電気に一本化するオール電化住宅への切り替えを検討されるご家族が増えています。

ガスを併用しない電気のみのオール電化住宅に切り替えることで 火を使わない安全性、家庭内で電気を無駄なく使用する経済性、再生可能エネルギーの利活用を可能にする省エネ性など ヒトと地球環境に優しい住宅づくりが可能となります。

日本におけるオール電化の発展と普及

日本におけるオール電化は 大正時代から始まったとされています。

アメリカの近代建築家 フランク・ロイド・ライトが手掛けた 兵庫県神戸市にある国指定重要文化財 ヨドコウ迎賓館 (旧山邑邸) は、1924年 当時では非常に珍しいオール電化住宅として知られています。

屋敷で使用する電気は 契約先である阪神電車から直接3,300ボルトの電気を引き 屋敷内で100ボルトに変圧することで アメリカやドイツから輸入した瞬間湯沸かし器、冷蔵庫、掃除機といった電化製品などを使用していたそうです。

1980年代を迎えると高級マンションが建設されるようになり、なかには ガスを使用しないオール電化の物件も いくつかありました。

ところが 当時はオール電化に関する知識や技術が不足していたため 使用電力が多く 支払う電気料金が高かったこともあり 一般家庭には普及しませんでした。

2000年代に入り 電気料金の安い夜間の時間帯にお湯を沸かして貯めておくことが可能になるといった 電気料金を大幅に節減できる技術が確立されたことで 一般家庭にもオール電化が普及するようになりました。

いまでは ガス漏れ・不完全燃焼による一酸化炭素中毒による死亡リスクの低下、ガスを使用した際の炎による火災事故を防ぐ、二酸化炭素の排出量削減による省エネ・エコ対策など 大切な家族と住まいを守ることを目的にオール電化の導入を検討されるご家族が増えています。

しかしながら、オール電化の導入を検討されるご家族が増えている一方で 実際にオール電化住宅に住んでいるご家族の割合が2021年4月時点で わずか14%ほどに留まっているのが現状です。

オール電化に切り替えるメリット・デメリット

日本でのオール電化普及率が14%に留まっている主な理由として、

  • わざわざオール電化に切り替える理由が見当たらない
  • 昨今の災害被災状況を見ると ライフラインを一本化することに抵抗がある
  • 電気料金が高騰しているなかでオール電化に切り替えるのは不安
  • 災害や停電などで電気の供給が止まったときが心配

といった お悩みが挙げられます。

しかし、オール電化に切り替えることで 電気とガスの併用時よりも 日常生活の快適性や利便性を向上させることができるのも事実です。

いったい 電気とガスの併用からオール電化へと切り替えリフォーム・リノベーションを行うことで どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

オール電化の主なメリット・デメリット

メリット

①光熱費がお安くなる

電気とガスを併用している場合 それぞれに基本料金が発生します。

オール電化にすることで 基本料金を電気料金に一本化されるため ガス料金の支払い時に発生する基本料金を節約することができます。

また、光熱費を一本化することで 管理もしやすくなり、より効率的な光熱費の節約が可能となり 家計への負担を軽減することができるようになります。

②深夜電力プランで光熱費がお得になる

オール電化に切り替えるタイミングで電力プランを 深夜の時間帯に料金が安くなる電力プランに切り替えることで 光熱費を節約することができます。

多くの電力会社では 電気を使用する時間帯によって電気料金が異なる仕組みを採用しています。

電気の利用率が低い深夜の時間帯は1日のなかでもっとも電気料金が安くなる傾向があり、エコキュート・蓄熱ヒーター・電気温水器といった深夜の時間帯に 翌日 使用するお湯を沸かして貯めておくことができる住宅設備を導入・設置することで 電気料金を効率的に節約することが可能となります。

③予期せぬ事故への対策が可能

オール電化への切り替えリフォームと併せて キッチンにあるガスコンロをIHクッキングヒーターと交換することで 調理中に起こりやすい火災による事故を未然に防ぐことができます。

とくに 子育て世帯や共働き世帯では キッチンでの慣れない家事を家族に任せてしまい ガス漏れによる一酸化炭素中毒や衣服への着火による火傷などの家庭内事故が発生しやすいため 火を使わないオール電化は家族の安全を守る手段として選ばれています。

④お手入れがらくちん

凹凸の多いガスコンロの場合 吹きこぼれや油の飛び散りによる汚れを取り除こうとすると 五徳やバーナーなどを1つ1つ取り外して汚れを取り去る必要があり お手入れが面倒に感じるご家族も少なくありません。

しかし、凹凸の無い平らな天板のうえで調理を行うIHクッキングヒーターであれば、調理中の吹きこぼれや油の飛び散りなどで汚れてしまった天板を サッとひと拭きするだけで 汚れを取り除くことができます。

⑤災害時の復旧が早い

快適な日常生活を過ごすうえで欠かせない電気・ガス・水道といったライフラインのうち、災害時に もっとも早く復旧されるライフラインは電気になります。

これまでに発生した自然災害では 電気・水道・ガスの順にライフラインが復旧していることが多く2011年3月に発生した東日本大震災では ガスの復旧には5週間ほど かかったのに対し 電気は1週間ほどで復旧されました。

さらに 2016年4月に発生した熊本地震でも ガスの復旧には2週間以上かかったのに対し 電気の復旧は1週間ほどと 半分の日数で復旧されています。

⑥災害時に貯水タンクを利用できる

オール電化への切り替えリフォーム時に エコキュートや電気温水器といった貯水タンクが内蔵されている住宅設備を導入することで 災害など緊急時にタンクの水を手洗い・入浴・トイレなどで利用することができます。

ただし、貯水タンクに溜められた水は飲用水として利用することはできませんが、エコキュートのお湯を使用している水回り設備の多くが 混合水栓である可能性が高いため 水に切り替えることで水道水を利用することができます。

デメリット

①電気料金が高くなる

家庭で使うエネルギーを電気に一本化してしまうと 電気料金が一気に跳ね上がるイメージをお持ちのご家族もたくさんいます。

電気料金制には 定額料金制、従量料金制(最低料金制)、基本料金制といった基本的な料金制度から使用電力量・季節・時間帯に応じて料金単価が異なる3段階料金制・季節別料金制・昼夜別料金制など さまざまな種類があります。

オール電化への切り替えリフォームを実施した場合、家族が学校や仕事で自宅に居ない日中の時間帯に電気料金が割高となる昼夜別料金制度に契約プランを変更すると電気料金をお安く抑えることができます。

ただし、家族構成や在宅率などによっては日中の電気料金を割高にしてしまうと 支払い電気料金が高くなってしまいますので、オール電化への切り替えリフォームを行う際は ご家族できちんと電気料金プランを話し合うことが電気料金を安く抑えるポイントです。

②停電時に利用できない

災害からの復旧がもっとも早い電気ですが、送電が止まってしまう停電時には オール電化設備がまったく機能しなくなってしまいます。

そのため 調理・給湯・空調・換気・照明といった日常生活に欠かせない住宅内にあるすべての生活ツールが使えなくなります。

また、エコキュートや電気温水器の貯水タンクに溜まっているお湯ですが 停電・断水時に使用することは可能ですが、電気が復旧するまで 新たにお湯を沸かすことができませんので 注意が必要です。

しかし、停電時に利用できなくなる生活ツールの多くが 携帯式カセットコンロや灯油ストーブなどを事前に用意しておくことで解決することができるほか、オール電化への切り替えリフォームの際に 太陽光発電システムと蓄電池を導入することで 停電時の電力をカバーすることができます。

③使用可能な調理器具が限定される

キッチンをガスコンロからIHクッキングヒーターへリフォームした場合、これまで使用していた鍋やフライパンなどの調理器具が使えなくなる可能性があります。

IHクッキングヒーターは 電磁波によって生じる熱で加熱調理する「電磁調理器」であるため 土鍋やガラスといった電気を通しにくい非金属素材の調理器具を使用することができません。

また IHクッキングヒーターは高火力を必要とする中華鍋のような底が丸くなっている調理器具を使用することができない点にも注意が必要です。

なお、底に金属が挟み込まれた土鍋であれば IHクッキングヒーターでの使用が可能であり メーカーによっては 鍋振り料理が可能なタイプもありますので ご家族でよく話し合って導入するIHクッキングヒーターを選びましょう。

④オール電化からガス併用に切り替えるのが面倒

すでにオール電化住宅にお住いであり キッチンのみガスを使用できる状態にしたいとお考えの場合、設備を取り替えるだけではなく ガスの配管工事や内装工事なども併せて行わなければならず 高額なリフォーム費用が必要となります。

また、契約中の電力会社によっては 電気料金プランの解約時に解約金や違約金が発生する場合がありますので 契約内容をよくご確認のうえ リフォームを始めるようにしましょう。

オール電化へ切り替えリフォーム時のポイント

電気・ガス併用住宅からオール電化住宅への切り替えリフォームを実施する場合、もっとも心配なのが月々に支払う電気料金ではないでしょうか。

オール電化への切り替えリフォームでは 既存住宅の性能が 住まいの快適性と住み心地の良さを大きく左右します。

たとえば、夏は涼しく 冬は暖かな 冷暖房効率の良い快適な室内環境を実現するためには 室内の温度が外気温からの影響を受けにくくなる「断熱性」と 室内の空気を屋外へと逃がさないようにする「気密性」を高める必要があります。

しかし、気密性・断熱性の高い住宅は 冷暖房のエネルギー効率が良く快適な室内空間を実現できる反面、自然換気量が少なくなるデメリットがあります。

自然換気量とは 電気などのエネルギーを使用せず 風圧力や室内と屋外の温度差などを利用する省エネルギーな換気力のことです。

多くの気密性・断熱性の高い住宅では 不足しがちな自然換気量に代わり24時間換気システムが導入されていますが、多くの世帯で24時間換気システムが正しく使用されておりません。

その結果 室内の汚れた空気を新鮮でキレイな空気と入れ替えられない、住宅内に溜まった湿気を屋外に排出できず 結露の発生による構造躯体の腐朽やカビ・ダニ・シロアリの発生などにより 住宅の寿命が縮まり ご家族の健康にもさまざまな悪影響を与える原因にもなります。

オール電化住宅への切り替えリフォームでは、住宅の快適性と住み心地の良さを実現する「気密性」と「断熱性」、24時間換気システムだけに頼らない「自然換気力」 この3つの住宅性能を向上させることが オール電化住宅にてエネルギー消費量を抑えて 支払い電気料金をお得にするポイントとなります。

四季彩ホームでは オール電化への切り替えリフォームのご相談を承っています。

省エネ・エコ意識が高まっている さいたま市では、太陽光発電システムと相性の良いオール電化への切り替えリフォームを検討されるご家族が増えています。

しかし、これまで電気とガスを併用していた暮らしに慣れているご家族にとって オール電化による日常生活の変化に戸惑いを感じることも少なくありません。

四季彩ホームでは、オール電化への切り替えリフォーム・リノベーションによる日常生活へのメリット・デメリットをきちんとご説明させていただき、ご家族のライフスタイルに合わせたリフォーム・リノベーションプランをご提案いたします。

オール電化への切り替えリフォームに関するお悩みやご相談等ございましたら、四季彩ホームまでお気軽にご相談ください。

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