住宅の豆知識
地震に強い家づくりのポイントは耐震基準と耐震等級!
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さいたま市では、2011年3月に発生したマグニチュード7を超える東日本大震災より甚大な人的・住家被害を受けたことをきっかけに 今後起こりうる可能性のある3つの地震「関東平野北西縁断層帯地震」「さいたま市直下地震」「東京湾北部地震」に備え、住民・民間企業・団体・行政それぞれが高い防災意識を持って、地震による災害リスクを軽減させる取り組みを実施しています。
そのなかの一環として、さいたま市では 市民が安心・安全な日常生活を過ごすために地震災害に強いまちづくりを実現すべく 新耐震基準以前に建てられた建築物の耐震化を促進する耐震補強等助成金事業、耐震診断・耐震改修に詳しい耐震アドバイザー派遣制度など 住宅など建築物の耐震性能の向上に注力しています。
しかしながら、防災意識が高まりつつあるさいたま市でも 現在お住いの住宅が どの程度の耐震性能を有するのかご存じないご家族もたくさんいます。
ここでは、住宅の耐震性能を向上させて地震に強い家づくりを目指す場合、耐震基準と耐震等級どちらを優先すべきかご説明します。
耐震基準と耐震等級の違い
さいたま市では 今後起こりうる可能性のあるマグニチュード7を超える3つの地震「関東平野北西縁断層帯地震」「さいたま市直下地震」「東京湾北部地震」に備え、地震に強い家づくりをサポートするため住宅の耐震性能を向上させる耐震補強リフォーム工事への支援を実施しています。
しかし、住宅の耐震補強リフォームを実施する際、必ず「耐震基準」や「耐震等級」といった言葉が出てきます。
どちらの言葉にも“耐震”が含まれているため、一見 同じ意味を持つ言葉に見えますが 実際には大きく意味合いが異なります。
耐震基準とは
建築基準法および建築基準法施行令により、日本では住宅を含むすべての建築物に対し最低限度の耐震能力を有していることを示す“基準”が設けられています。その基準こそが「耐震基準」になります。
耐震基準には「旧耐震基準」と「新耐震基準」があります。
旧耐震基準とは 1961年6月以前に施行された耐震基準であり、新耐震基準とは 1961年6月以降の耐震基準を指します。新耐震基準はマグニチュード7を超える大地震が発生しても住宅などの建築物が倒壊または損壊しないことを前提としています。
1950年に旧耐震基準を定めた建築基準法では 人命の保護ならびに財産の保全が目的であり、住宅を含むすべての建築物は建築基準法で定められた耐震基準を厳守しなければなりません。
しかし、耐震基準は大地震が発生するたびに見直しが行われ、1981年6月に改正された建築基準法では 極めてまれに発生する大地震であっても住宅を含む建築物が倒壊または損壊しないことを前提とする 新耐震基準を定めました。
新耐震基準法が定められたことにより、1995年1月 兵庫県南部で発生したマグニチュード7を超える阪神・淡路大震災では 壁などにヒビ割れや配管の破損は見られたものの 新耐震基準を満たした建築物の多くが 倒壊を免れています。
なお、新耐震基準は 2000年6月1日に実施された建築基準法の大改正により 従来の新建築基準法よりも さらに厳しい耐震基準法「2000年基準」へと改正が行われました。
2000年基準では、
- 地盤が建築物の重さを支えられる力に応じて基礎を設計すること
- 柱の引き抜けに対応できる基礎と柱の接合部への金具を取り付けること
- 耐力壁をバランスよく配置することで従来よりも頑丈な家づくりを目指すこと
などが義務付けられています。
耐震等級とは
耐震等級とは、「品確法 (住宅品質確保促進法) 」によって定められている住宅における性能表示のひとつであり、主に地震に対する建築物の強度を示す指針となります。
耐震等級における建物の強度とは、建築物の構造躯体である基礎・柱・梁・壁などの破損しにくさのことであり、品確法に沿って住宅の耐震性能を評価し、どのくらいの耐震性能を有しているのかを判別します。
耐震等級の耐震性能は3段階で評価され、数字が大きいほど耐震性能が高いことを表します。
耐震等級1
極めてまれに発生する震度6強~震度7程度の大地震に対して倒壊または崩壊しない建築物であることを示しており、建築基準法に定められる最低水準の耐震性能と同等の耐震性能を満たしていることを表しています。なお、2021年現在 建築基準法の建築確認申請認証を得ている日本国内の建築物は、すべて耐震等級1に適合しています。
耐震等級2
耐震等級1で想定される1.25倍の大地震が発生しても倒壊・崩壊・損壊しない建築物であることを示しており、主に学校や病院など大地震が発生した際の避難場所となる公共施設が この等級に当てはまります。
耐震等級2以上の住宅であると認められた場合、長期優良住宅認定住宅とみなされ 国や自治体などが実施する様々な補助・助成制度の対象となります。
ただし、耐震等級2と認められるためには耐震等級1を上回る耐震性能である必要があるため「仕様規定 (壁量計算)」と「耐震計算」を用いた住宅設計である必要があります。
耐震等級3
住宅性能表示制度で定められた耐震等級のなかで最高水準となる耐震等級3は、耐震等級1で想定される1.5倍の大地震が発生しても倒壊・崩壊・損壊しない建築物であることを示します。
主に大地震発生時の災害復興や救護活動の拠点となる警察署や消防署などの公共施設が この等級に当てはまります。
耐震等級3の住宅と認められるには 本格的な構造計算が必須となりS造(鉄骨造) や RC造 (鉄筋コンクリート造)などで採用されている「許容応力度計算」を用いた住宅設計が対象となります。
耐震等級3相当
耐震等級3のあとに“相当”という言葉が付いている建築物の場合、耐震等級3に匹敵する耐震性能は有しているが 住宅性能評価機関への申請は行っておらず、耐震等級3である正式な認定を受けていない建築物になります。
住宅性能評価機関による正式な調査・判定を受けてないため 実際の耐震性能は不明であり、のちに専門家による耐震性能の調査を実施したところ 耐震等級1であったというケースも少なくありません。
既存住宅の耐震等級の調べ方
2011年3月に発生した東日本大震災をきっかけに防災意識が高まりつつあるさいたま市ですが、現在お住いの住宅がどのくらいの耐震性能を有しているかご存じないご家族も少なくありません。
既存住宅の耐震等級の調べ方ですが、すでに耐震等級を獲得していることが明らかである場合は「住宅性能評価書」と呼ばれる書類を確認することで耐震等級を知ることができます。
しかし、住宅性能評価書の交付が始まったのは2000年4月1日に施行された「住宅品質確保促進法 (品確法)」に基づく「住宅性能表示制度」による評価制度が設けられて以降になりますので、2000年以前に建てられた住宅にお住いの場合 住宅性能評価書が手元にない可能性があります。
手元に住宅性能評価書がない場合、家主様自ら住宅性能評価機関に直接 調査・検査を依頼することで既存住宅の耐震等級を証明することができます。
しかしながら、家主様自ら住宅性能評価機関に直接 調査・検査を依頼するとなると住宅の大きさにもよりますが 平均10万円~20万円ほどの費用がかかってしまいます。
もう少し費用を抑えたいとお考えならば、専門機関による耐震診断を実施することをおすすめします。
ただし、耐震診断はあくまで既存住宅の耐震性能を知るためのものであり、住宅性能評価書を獲得することはできない点に注意が必要です。
既存住宅のお得な耐震等級の調べ方
さいたま市では1981年5月31日以前に建築された木造戸建て住宅を対象に耐震診断士を無料で派遣する木造住宅耐震診断員派遣事業、さいたま市内における新耐震基準以前に建築された戸建て住宅の耐震診断、耐震補強設計、耐震補強リフォーム工事などにかかる一部費用を助成する耐震補強等助成事業を実施しております。
四季彩ホームでは、住宅性能評価書の発行および住宅性能評価制度の申請サポート、耐震診断士による耐震診断は 残念ながら行っておりませんが、既存住宅の耐震リフォームと併せて既存住宅の耐震性能も調査・検査したいとお考えのご家族を対象に 弊社が加入している住宅瑕疵保険会社「株式会社 ハウスジーメン」による第三者機関への住宅性能評価をご案内させていただいております。正式に第三者機関に住宅性能評価を委託される場合、既存住宅の大きさにもよりますが1度の調査・検査にかかる費用相場は5万円ほどになります。
なお、既存住宅の耐震補強リフォームであれば、住宅に生じている劣化や不具合の状況に応じて四季彩ホームのスタッフによる客観的かつ簡易的な点検・調査の実施および資料の作成であれば 費用を一切かけずご対応いたします。
また、さいたま市にて実施されている耐震リフォームの助成制度の申請サポートも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
中古住宅の購入時は「耐震基準適合証明書」を確認
さいたま市にて中古住宅を購入しリフォーム・リノベーションをお考えの場合、購入を検討されている中古住宅が新耐震基準を満たしていることを証明する「耐震基準適合証明書」を売主に確認しましょう。
耐震基準適合証明書とは、一戸建て住宅やマンションなどの建築物の耐震性能が建築基準法にて定められた耐震基準を満たしていることを証明するための書類になります。耐震基準適合証明書は自動的に発行されるものではないため、証明書を取得するには申請を行う必要があります。
耐震基準適合証明書があることで 住宅の耐震性能を証明することが可能となり、
-
- 住宅ローンの控除
- 住宅取得等の資金贈与の特例
- マイホーム取得資金における相続時の精算課税の特例
- 登録免許税軽減の特例
- 不動産取得税軽減の特例
- 固定資産税の減税措置
などの恩恵を受けることができます。
とくに住宅ローンの控除が適用された場合、10年~13年間 住宅ローンの残高1%が所得税から差し引かれ 還付金として受け取ることができます。通常、住宅ローンの控除を受けるには 非耐火構造住宅ならば築年数20年未満、耐火構造住宅ならば築年数25年未満の住宅でなければならないのですが、耐震基準適合証明書があれば築年数の要件が緩和されるため 築年数25年以上の住宅であっても住宅ローンの控除が受けられる可能性があります。
耐震基準適合証明書の申請・発行方法
耐震基準適合証明書の申請時期は 中古住宅の「引き渡し前」と「引き渡しあと」では手続きの方法が少し異なります。
耐震基準適合証明書を発行するために耐震工事を実施する場合、引き渡し前であるならば「売買 ⇒ 耐震補強リフォーム ⇒ 耐震基準適合証明書の申請および発行 ⇒ 中古住宅の引き渡し」となります。一方、引き渡し後に耐震基準適合証明書の発行を実施する場合「売買 ⇒ 耐震基準適合証明書の申請⇒ 中古住宅の引き渡し ⇒ 耐震補強リフォーム ⇒ 耐震基準適合証明書の発行」となります。
耐震基準適合証明書の申請および発行の手続きを行う場合、
- 指定確認検査機関
- 登録住宅性能評価機関
- 建築士事務所に在籍している建築士
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
いずれかの機関に必要な書類を提出しなければなりません。
耐震基準適合証明書の注意点
建築物の所有権が移転した後の場合 建築物の所有者は買主となりますので耐震基準適合証明書の申請は買主が行うことになります。
しかし、中古住宅 購入後に耐震基準適合証明書を取得してしまった場合、住宅ローンの控除などが受けられない恐れがありますので、できる限り 売主に対して発行された耐震基準適合証明書を用意することをおすすめします。
なお、耐震基準適合証明書の申請および発行には3万円~5万円ほど、住宅診断費用は10万円~15万円ほどの費用がかかります。
売主と買主どちらが費用を負担すべきなのかは 法律上 決められておらず、申請費用が原因でトラブルに発展するケースも少なくありません。
耐震基準適合証明書の必要性を考えると買主が費用を負担すべきに見えますが、耐震性が確保されている住宅であることを前提とする不動産取引の場合は売主が負担するのが一般的な考え方となっています。
また、耐震基準適合証明書には有効期限があり発行後より2年間しか使用できません。
中古住宅をリフォーム・リノベーションして取得する際には非常にタイミングが重要となる点も併せて覚えておきましょう。
耐震基準と耐震等級どちらも地震に強い家づくりに欠かせない要素です。
さいたま市では、今後さいたま市周辺にて起こりうる可能性のある3つの地震「関東平野北西縁断層帯地震」「さいたま市直下地震」「東京湾北部地震」に備え、既存住宅の耐震補強リフォームへの関心が高まっています。四季彩ホームでは、基礎の補強、柱の補強、屋根瓦の葺き替えなどを中心とする耐震補強リフォームをご提案させていただいております。
それぞれの耐震補強リフォームにかかる費用相場は 住宅の大きさ、劣化具合、住宅の状態などによって異なりますが、基礎の補強:30万円~、柱の補強:10万円~、屋根瓦の葺き替え;100万円~となります。
さいたま市にて地震に強い家づくりを目指すのであれば、人命の保護と財産の保全を目的とする耐震基準も重要ですが、人命と財産に加えて住宅を守ることも目的としている耐震等級を優先した耐震補強リフォーム・リノベーションを実施することをおすすめします。