住宅の豆知識
人気の外壁材 サイディングの種類とメンテナンス周期
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1980年代の日本では、住宅の外壁材にモルタルを使用するのが一般的でした。
ところが、施工に手間暇がかかる、雨だれによる汚れが付着しやすい、ひび割れ・チョーキング (白亜化現象)・浮き・剥がれといった劣化症状が発生しやすいなどの理由から、さいたま市では現在「サイディングボード」と呼ばれる住宅用外壁材を外壁に使用するのが主流となっています。
しかしながら、サイディングボードとは住宅・建築関連の専門用語となりますので どのような特徴を持つ外壁材なのか、種類やメンテナンス周期はどのくらいなのか詳しくご存知でないご家族も少なくありません。
ここでは近年さいたま市にて主流となっている人気の外壁材・サイディングボードの特徴をはじめ種類やメンテナンス周期などについて詳しくご説明します。
サイディングボードとは

数ある住宅用外壁材のなかで圧倒的な市場シェア率を誇るサイディングボードとは、住宅など建物の外壁にパネルのように貼り付けて使用する仕上げ用の板材になります。
一定のサイズにカットされたサイディングボードを外壁に貼り付けることで雨漏りなどの住家トラブルやひび割れ・剥がれといった外壁の劣化を抑えることができるほか、サイディングボードはこれまで主流だったモルタルとは違い施工期間が短く工事にかかる費用相場も比較的お手頃な価格であることも人気のひとつとなっています。
サイディングボードが住宅用外壁材として主流となり始めたのは住宅の在り方が転換期を迎えた1990年代ごろからになります。
1974年、日本初となるサイディングボード「モエン」がニチハ株式会社にて誕生しました。いまでは防火外壁材の代名詞として多くの戸建て住宅や商業施設の外壁材として使用されているモエンシリーズですが、当時の外壁材はモルタルが主流であったためほとんど使用される機会はありませんでした。
しかし、時代の流れと共に住宅が洋風・高級志向となるにつれバリエーション豊富な色柄と高級感ある質感のサイディングボードが積極的に戸建て住宅の外壁一面に採用されるようになりました。
その後1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災をきっかけに火災や地震に強い高耐久住宅への関心が高まったことで軽量かつ耐震性・耐久性に優れた住宅用外壁材として、さらにサイディングボードの需要が高まっていきました。
2000年になると外壁材の多様化に伴い住宅の個性が求められるようになったことで複数の色柄を組み合わせた外壁デザインや本物に近い質感を表現したサイディングボードが登場し、2005年には更なるデザイン性の向上を目指し次世代インクジェット塗装技術を用いた革新的で意匠性あるサイディングボードが誕生したことで既に生産終了となったサイディングボードの少量生産が可能となり部分的な外壁リフォームや補修・修繕が可能となりました。
2021年現在、より洗練されたデザイン性、高い機能・性能、維持管理力を持ち合わせたサイディングボードが続々と登場しています。
サイディングボードの種類

昨今のサイディングボードは本物に近い質感を持つものも多く、どの種類のサイディングボードが外壁材として使用されているのか見た目だけでは判断することができないご家族もたくさんおられます。
現在日本国内で使用されているサイディングボードは大きく分けて「窯業系」「金属系」「樹脂系」「木質系」この4種類になります。
窯業系サイディング
窯業系サイディングの「窯業 (ようぎょう)」とは、粘土など鉱物質を窯や炉にて高温処理を行うことで瓦・陶磁器・ガラス・セメントなどを製造する工業の総称になります。
セメントに繊維を混ぜ合わせることで強度と軽量化を実現した窯業系サイディングボードは、新築・中古物件問わず国内の一戸建て住宅における外壁材の使用率70%を超えており、日本で使用されているサイディングボードのほとんどが窯業系サイディングと言えます。
2005年以降、次世代インクジェット塗装技術を用いた細密な色付けや厚みのあるものであれば深さのある凹凸デザインが可能となり、高級感ある個性的な外観デザインに仕上げることができるようになりました。
窯業系サイディングの見極めポイント
サイズ | 一般的に455mm×3030mmであることが多い。 |
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厚さ | 14mm、15mm、16mm、18mmが一般的。 ※現在は製造されていませんが以前は12mmもありました。 |
特徴 | 目地を隠すため幕板が取り付けられることが多い。 パネル1枚の重量が大きく地震による揺れによって二次被害が起こる可能性がある。 ほかの種類のサイディングと比べて防火性が高い。 |
窯業系サイディングのメリット
- 豊富なデザイン性
- 初期費用が比較的安い
- 施工期間が短い
- 優れた耐火性
窯業系サイディングのデメリット
- 劣化しやすくメンテナンス頻度が高め
- 熱エネルギーが吸収・蓄積されやすい
- 素材時代に防水性能が備わっていない
金属系サイディング
金属系サイディングボードとは、ガルバリウム鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金など金属を素材とする住宅用外壁材になります。
さいたま市では、ここ数年 窯業系サイディングボードに次ぐ人気の外壁材となっており、新築はもちろん外壁リフォーム・リノベーション建材としても注目されています。
金属系サイディングは表面材の金属と裏面材のラミネート紙で断熱材をサンドイッチ状に挟み込んだ構造をしており、生活空間の温度を一定に保つことができる省エネ効果を期待することができます。
なお、金属系サイディングは日射による表面温度の上昇と乾湿調整機能を持ち合わせておりませんので施工の際には下地とのあいだに空気の通り道と水分の逃げ道を必ず作らなければならない点に注意が必要です。
また、表面材の金属を保護するメッキが腐食してしまうと本体の金属部分に錆びなどが発生してしまいますので定期的なメンテナンスを行うことも併せて覚えておきましょう。
金属系サイディングの見極めポイント
サイズ | 縦:2438mm~4000mm 横:260mm~400mm ※メーカー、製品によって大きさが異なることがあります。 |
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厚さ | 12mm~18mmほど ※メーカー、製品によって大きさが異なることがあります。 |
特徴 | シンプルなデザインから意匠性あるデザインまで窯業系に迫る幅広いデザイン性。 軽量かつ優れた耐震性により地震による住宅への負担が少ない。 |
金属系サイディングのメリット
- 金属の性質により熱を保持しやすく断熱性が高い
- 強度が高くコストパフォーマンスが良い
- 窯業系サイディングの約1/4ほどの軽量素材で地震に強い
- 既存の外壁材の上から重ねて張り上げることができる
- 施工期間が短く工事費用を抑えられる
- 金属ならではのモダンな仕上がり
金属系サイディングのデメリット
- 水分に触れると錆びやすい
- 衝撃に弱く傷付きやすい
- デザインが少ない
- 定期的なメンテナンスが欠かせない
樹脂系サイディング
日本ではあまり馴染みのない樹脂系サイディングですが、アメリカやカナダでは外壁材の市場シェア率50%を超える非常に人気の高い住宅用外壁材になります。
1965年 アメリカにて誕生した樹脂系サイディングは1990年代に北米を中心に飛躍的に市場シェアを拡大し1996年ごろに日本へとやってきました。
ところが、デザインのバリエーションが少ない、取り扱いメーカーや施工可能な事業者が少ない、1㎡あたりにかかる費用が窯業系サイディングの約2倍と高額であることから樹脂系サイディングの国内シェア率はわずか1~2%程度と極めて低いのが現状です。
しかしながら、塩化ビニル樹脂を素材とする樹脂系サイディングは ほかの種類のサイディングとは違い腐食・ひび割れなどの劣化症状が起こりにくく燃えにくい性質を持っているほか、素材自体に色が付いておりコーキングを必要としないことから塗装工事による塗り替えやコーキングの打ち直しが必要ない、メーカーによっては耐用年数が最長30年以上と長いなどたいへんコスパの良い外壁材として近年日本国内でも密かに注目されています。
樹脂系サイディングの見極めポイント
ひと目で塩化ビニル樹脂素材の外壁材であると見分けることが可能な外壁材になりますが、デザインによっては見極めが難しいものもあります。
樹脂系サイディングのメリット
- 金属系サイディングよりも軽い超軽量素材により優れた耐震性を誇る
- 外壁塗装やシーリングの補修が不要
- 耐久性が高い
- 定期的にメンテナンスを行うことで長持ちする
- 変色、退色を起こしにくい
- 塩害、凍害による被害を防ぐ
樹脂系サイディングのデメリット
- 日本国内での普及率が低く取扱い業者が少ない
- デザインが限られてしまう
- 施工費が高め
木質系サイディング
天然木を素材とする木質系サイディングは、本物ならではの木の温もりを感じることができる住宅用外壁材です。
かつて日本では杉材の表面を焦がして磨き木目を浮き立たせた「焼き杉」を外壁材として使用するのが一般的でしたが、現代では取扱いメーカーや施工可能な事業者が少なく価格も高いことから樹脂系サイディング同様、国内の市場シェア率は低めとなっています。
しかしながら、天然木の表面がしっかりと炭化しているものは耐久性が高く、天然木の特性である断熱性能や調湿性能も備わっていますので省エネ対策や結露対策に効果的です。
木質系サイディングには昔ながらの焼き杉のほかに天然木の表面に塗装を施したものなど様々な種類があります。
どの木質系サイディングも自然本来の質感や温もりを感じさせる味わい深い仕上がりとなっており、1枚1枚異なる表情を持っていますのでご家族のこだわりをしっかりと表現することができます。
木質系サイディングの見極めポイント
木質系サイディングボードは天然木を切り出して加工された外壁材ですので比較的安易に見極めることができます。
木質系サイディングのメリット
- 温もりを感じさせるデザイン性
- 断熱性が高く省エネ効果を期待できる
- 調湿性能により結露が発生しにくい
- ヒトと地球環境に優しい
- 非常に硬く、虫害対策になる
木質系サイディングのデメリット
- ほかのサイディングボードと比べて値段が高め
- 天然木を素材とするため防火性能が低い
- 雨水などが染み込むと腐食しやすい
- 自然素材であるため反りや割れが発生することがある
- 木材の表面が炭化しており触れると黒くなる
- ランニングコストが掛かる
サイディングボードのメンテナンス周期

サイディングボードのメンテナンス周期ですが、現在お住いの住宅に使用されているサイディングボードのメーカーや種類などに応じて耐久性が異なります。
メーカーや製品の種類によって異なりますが窯業系と金属系のサイディングボードの場合、一般的な耐用年数は20年~40年とされています。
しかし、外壁材はつねに紫外線や風雨にさらされており、ひび割れ・チョーキング・錆びなどの劣化症状の発生や雨漏り・腐食などの住家トラブルを防ぐためにも定期的に外壁塗装やシーリングの補修といったメンテナンスを行う必要があります。
外壁材の種類が窯業系サイディングである場合、8年~10年に1度 外壁塗装とシーリングの補修を行うと良いでしょう。
金属系サイディングである場合、10年~15年に1度のペースで外壁塗装、5年~10年を目安にシーリングに補修を行うことをおすすめします。
なお、表面材の金属を保護しているメッキが腐食している、金属部分に錆びが発生している際は早急にメンテナンスを行う必要があります。
外壁塗装やシーリングの補修を行う必要の無い樹脂系サイディングの一般的な耐用年数はお住いの地域やメーカーによって異なりますが平均20年~50年ほどになります。
天然木を素材とする木質系サイディングの耐用年数は平均15年~40年とされていますが、職人さんの技術力や加工方法などによって木材の耐久性が異なりますので、3年~10年に1度は外壁材の点検・メンテナンスを行うと良いでしょう。
【種類別】サイディングボードのメンテナンス周期の目安表
サイディングボードの種類 | 平均耐用年数 | メンテナンス周期の目安 |
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窯業系サイディング | 20年~40年 | 外 壁 塗 装:8年~10年 シーリングの補修:5年~8年 |
金属系サイディング | 20年~40年 | 外 壁 塗 装:10年~15年 シーリングの補修:5年~10年 ※錆びなどが発生している場合、 メンテナンス周期を待たず早急に対処すること。 |
樹脂系サイディング | 20年~50年 | 10年~30年 ※外壁塗装、シーリングの補修については基本的に不要。 外壁材が汚れていると破損の原因となります。 こまめに掃除を行うようにしましょう。 |
木質系サイディング | 15年~40年 | 3年~10年 ※天然木は水分に弱い性質を持っています。 定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。 |
住まいの外壁材を知り、正しいメンテナンスを行うことが大切です。

四季彩ホームでは、ニチハやケイミューを中心に様々な種類やデザインのサイディングボードを取り扱っております。
さいたま市ではブラウン系やベージュ系といった落ち着いた色合いやデザインが人気となっておりますが、近隣の住宅や自然環境との調和、施主様ご家族の好みを最優先に外壁リフォームに関するご相談をさせていただいております。
サイディングボードのメンテナンス周期はお住いの地域によって異なりますが、さいたま市では窯業系サイディングのサイディングであれば10年、金属系のサイディングであれば15年ほどが基準となっておりますが、シーリングの劣化は7年ほどで現れ始めますので、新築・リフォーム完了後より既に7年経過している際は1度四季彩ホームまでご連絡ください。