住宅の豆知識
省エネ・エコ対策に最適な機能性塗料「断熱塗料」について
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日常の生活空間を紫外線や風雨から守ってくれる屋根・外壁は、住宅外観の美観性や機能・性能を保つことで劣化による住家トラブルを防ぐ役割を担っており快適な暮らしを実現するためには欠かせない存在です。
しかし、地球温暖化などの影響により集中豪雨や大雪と言った異常気象による住家被害が増加傾向にあるさいたま市では、これまでのような屋根・外壁の一般的なメンテナンスだけでは大切な家族とお家を守ることが難しくなっており、いまでは特別な機能・性能を持っている機能性塗料を用いた屋根・外壁のメンテナンスが基本となりつつあります。
なかでも地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を削減できる断熱塗料や遮熱塗料といったハイグレード塗料は人気が高く、自治体によっては補助金・助成金の対象となっているケースもあります。
しかしながら、さいたま市を含む多くの自治体で実施されている省エネ対策に関する補助金・助成金制度の多くが遮熱塗料による屋根塗装に限定をしており、断熱塗料を使用した屋根・外壁塗装は補助金・助成金の対象外である場合が多い傾向にあります。
ここでは遮熱塗料と同じく省エネ・エコ対策に最適な機能性塗料でありながら、補助金・助成金制度の対象外となっている断熱塗料について詳しくご説明します。
断熱塗料とは

一般的な塗料に特殊なセラミックを配合した断熱塗料は、太陽から放出される熱エネルギーを生活空間に届かないようシャットアウトすることを目的とする機能性塗料になります。
日射の当たった屋根・外壁の塗膜表面は時間経過によって徐々に住宅内部へと伝わっていきます。これを熱伝導と言います。
断熱機能を持たない一般的な塗料を屋根・外壁塗装工事に使用した場合、太陽から放出される熱エネルギーが屋根・外壁に当たった直後に住宅内部へと伝わり室内の温度が上昇してしまいます。
しかし、断熱塗料ならば住宅内部に熱エネルギーが伝わる時間を緩やかにさせることが可能であるため室内の温度上昇を最小限に抑えることが可能です。
ほかにも、断熱塗料には一般的な断熱材と同じく夏の暑さを生活空間に伝えるのを防ぐほか、冬の冷えた空気が生活空間に侵入するのを防ぎつつ暖房によって温められた室内の空気が屋外へと逃げてしまわないように留める役割もあります。
なお、断熱塗料の断熱性能は床・壁・天井に使用される一般的な断熱材と比べると得られる断熱効果は極めて低く、断熱塗料だけでは十分な断熱性能を発揮させることは難しいとされています。
一般的な断熱材は熱エネルギーを通しにくい厚みのある素材を設置することで優れた断熱性能を実現していますが、断熱塗料の厚みは50μmほどが一般的であり、もっとも厚みのあるものでも2mmほどしかありません。
断熱塗料の断熱性能を高めるためには、遮熱塗料と組み合わせて屋根・外壁の表面温度が上昇するのを防ぎつつ住宅内部に入り込む表面温度の進行を緩やかにする必要があります。
断熱塗料が選ばれる理由とは

効率よく日射を反射することで住宅が受ける熱エネルギーの影響を抑えることができる遮熱塗料とは違い、太陽から放出される熱エネルギーを屋根・外壁の塗膜にて溜め込むことで住宅内部に熱エネルギーが侵入するのを緩やかにする断熱塗料は、一般的な断熱材と同じく住宅の内側と外側を行き来する熱の量を減らすことを目的とする機能性塗料になります。
しかし、断熱塗料の断熱性能は床・壁・天井に使用される断熱材と比べて低く屋根・外壁の塗装工事だけでは十分な住宅の断熱化を行うことができません。
そのため、遮熱塗料と比べるとやや機能・性能が劣っているように見えてしまいます。
それでも断熱塗料が選ばれる理由とはいったい何故なのでしょうか。
断熱塗料を選ぶメリット
- 夏は涼しく冬は暖かな快適な生活空間を実現
遮熱塗料と比べ熱伝導率の低い断熱塗料は、夏の強烈な日差しの影響によって住宅内部の温度上昇を抑えて快適な生活空間を維持したり、寒い冬の時期には暖房によって暖められた室温を住宅外部に逃さないよう室内に留めたりする効果があります。
断熱塗料は、冬の寒さ対策や季節を問わず快適な暮らしを実現させたいとお考えのご家族におすすめの機能性塗料です。
- 防音・遮音、消臭など断熱性能以外の機能性が充実
断熱塗料のなかには、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が開発した断熱技術より誕生した住宅用断熱塗料「GAINA (ガイナ)」、屋根・外壁・内壁など住宅全体に使用できる多機能水性断熱塗料「断熱くん」といった高性能な断熱塗料があります。
こうした高性能な断熱塗料には、冷暖房効率の良い生活空間の実現を可能にする役割のほかに防音・遮音効果や消臭効果など様々な機能・性能が備わっています。
なかでも2005年に省エネルギー優秀事例全国大会 資源エネルギー庁長官賞を受賞したガイナは“1度塗れば7年経っても断熱性能が持続する”と言われており省エネ・エコ対策だけではなく経済的にも優しい塗料として人気があります。
- 結露の発生を抑え住宅の劣化を防ぐ
断熱性能、気密性能、換気性能が低い住宅では、住宅の屋内と屋外の温度差が大きくなりやすいため結露が発生しやすくなります。
日本の住宅は多くが木造住宅であるため結露が発生してしまうと木材腐朽菌の繁殖によって住宅の耐久性や耐震性を大幅に低下させる原因となります。
断熱塗料には屋外の温度を室内とほぼ同じ温度に近付ける働きがありますので、屋根・外壁塗装の際に断熱塗料を用いることで表面結露や内部結露の発生を抑えて住宅の劣化を防ぐことができます。
- 節電による省エネが可能
1年を通して生活空間の温度を快適に保つことができる断熱塗料により住宅の断熱性能が向上することで冷暖房の過度な使用を防ぐとともに家庭からの二酸化炭素排出量を削減することができます。
経済産業省 資源エネルギー庁によると、夏場にエアコンの設定温度を27℃から28℃に切り替えるだけで年間30.24kWhの省エネと二酸化炭素の排出量を14.8kg削減することができ、1年間でおよそ840円の節電・節約が可能となります。
また、冬場も同様に暖房の設定温度を21℃から20℃に切り替えるだけで年間53.08kWhの省エネと二酸化炭素の排出量を25.9㎏削減することができ、1年間でおよそ1,430円の節電・節約ができます。
冷暖房設備の効率化を図ることで節電対策となり年間光熱費の削減や省エネ・エコ対策に繋がります。
断熱塗料と遮熱塗料の違い

断熱塗料と遮熱塗料ともに塗装面となる屋根・外壁の表面温度の上昇を抑えることを目的とする機能性塗料になります。
しかし、断熱塗料と遮熱塗料では熱エネルギーへの対処が大きく違います。
遮熱塗料とは、太陽から降り注ぐ熱エネルギーを効率よく反射することで屋根・外壁が受ける熱ダメージを低減させることが可能な機能性塗料であり生活空間の温度上昇や輻射熱・人工排熱によるヒートアイランド現象を防ぐことができます。
一方、断熱塗料は日射による熱エネルギーを受け取った屋根・外壁から生活空間へと伝わる熱の量を抑えるための機能性塗料になります。
昨今さいたま市では、夏になるとヒートアイランド現象による熱中症患者の増加や集中豪雨などの異常気象の発生など深刻な健康・環境問題が発生しています。
断熱塗料の主な機能は、塗料に熱伝導率の低い樹脂を混ぜることで生活空間に熱や冷気が伝わりにくくすることであり、ヒートアイランド現象を緩和するには十分ではありません。
ヒートアイランド現象は輻射熱・人工排熱の増加と地表からの水分蒸発散量の低下によって発生していることから効率よく太陽熱を反射することができる遮熱塗料であればヒートアイランド現象の緩和に繋がります。
しかし、冬になると新潟県などの雪国よりも寒さが厳しくなることもあるさいたま市では、夏場のヒートアイランド現象だけではなく冬の寒さ対策も重要になります。
ところが熱エネルギーを効率よく反射させてしまう遮熱塗料は夏場の強い日射による温度上昇を防ぐことには向いていますが、冬場に暖房設備などで発生させた熱を保温することには向いていません。
一方、断熱材と同じく熱エネルギーの移動が長い断熱塗料は室内の暖かな空気が屋外に逃げてしまうのを抑えることが可能であるため冬でも暖かく快適な暮らしを実現することができます。
季節を問わず1年を通して住み心地の良い住宅を目指すならば、住宅内部の温度を屋外に逃がしにくく外の熱を室内へと伝わりにくくする断熱塗料を選ぶと良いでしょう。
ヒートアイランド現象による暑さ対策を優先したいとお考えならば日射を効率よく反射し塗装箇所の表面温度を下げることが可能な遮熱塗料がおすすめです。
断熱塗料のメリット・デメリットを知ることが大切です。

四季彩ホームでは、断熱塗料を使用した屋根・外壁塗装についても取り扱っております。
ですが、さいたま市を含む九都県市では地球温暖化防止やヒートアイランド現象の緩和など「夏の暑さ対策」を推進しており、冬の寒さには強いが夏の暑さ対策については効果の低い断熱塗料への補助金・助成金制度は対象外となっています。
また、遮熱塗料と比べて1㎡あたりの施工費用が1.5倍ほどであるコストネックもあります。
これから省エネ・エコ対策として屋根・外壁塗装の際に断熱塗料の使用をお考えであるご家族は、まず断熱塗料に関する正しい知識を深め、きちんとメリット・デメリットを知ったうえで決めることが大切です。
四季彩ホームではご家族のご希望・ご要望に合わせて適切な塗料をご提案させていただいております。
ぜひお気軽にご相談ください。