住宅の豆知識

素材ごとに種類が違う!塗装工事における正しい塗料の選び方

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太平洋側気候により1年を通して比較的穏やかで住み心地の良いまちとして知られるさいたま市ですが、昨今の異常気象の影響により雨漏り、構造躯体の腐食、基礎の劣化といった住宅トラブルの発生件数が増加傾向にあります。

こうした住宅トラブルを未然に防ぐため、さいたま市では定期的に塗装工事を行うご家庭が増えています。

塗装工事とは一般的に屋根・外壁・付帯部など住宅の外観にある外装材に対して行う施工のイメージがありますが、ベランダやウッドデッキなど屋外スペースの保護、ホルムアルデヒドなどの有害な物質が原因で起こるシックハウス症候群対策、木製家具の耐久性向上など、住宅外部だけではなくご家族の生活空間である屋内スペースの安全性や衛生環境などを守る大きな役割があります。

しかし、塗装工事の際に使用される塗料には大きく分けて「水性」と「油性」の2種類あり、それぞれの塗料に合わせて最適な塗装箇所や機能・性能が大きく異なる点に注意が必要です。

たとえば扱いの難しい油性塗料を内装材の塗装工事にて使用した場合、鼻を刺す不快なにおいの発生による体調不良やホルムアルデヒドをはじめとするVOC (揮発性有機化合物)によるシックハウス症候群などの健康被害を招いてしまう可能性が高くなります。

塗装工事を依頼する際、多くのご家族が色や機能・性能で塗料を選ぶことが多いですが選んだ塗料の機能・性能を最大限発揮したいとお考えであるならば塗装箇所に応じて適切な塗料を選ぶことが大切です。

屋根・外壁塗装工事に使用する塗料の種類



つねに紫外線や風雨など厳しい自然環境にさらされている屋根と外壁は、住宅全体のなかで最も劣化の早い箇所になります。

なかでも屋根・外壁が本来持っている機能・性能を最大限発揮できるようサポートしている塗料はお住いの地域の気候・風土によって異なりますが平均10年~15年ほどで寿命を迎えてしまうため定期的なメンテナンスを行う必要があります。

しかし、屋根・外壁の塗装工事に使用される塗料には様々な種類があり、それぞれの塗料ごとに耐久年数が異なります。

家族の思い出がたっぷり詰まった大切なお家を長持ちさせるためには、屋根・外壁塗装工事を依頼する前に塗料の特徴や耐久年数について理解を深めておくことが大切です。

シリコン塗料

塗料の主成分である合成樹脂に一定量のシリコンを含有した塗料をシリコン塗料と言います。

現在さいたま市ではシリコン塗料を使用した外壁塗装工事が主流となっており、比較的お手頃な価格で塗装工事を行うことができます。

シリコン塗料は一般的なアクリル塗料やウレタン塗料と比べて耐久性が高く、外壁ならば10年~15年ほど、屋根ならば8年~13年ほどと寿命が長いのが特徴です。

しかし、価格とコストパフォーマンスのバランスが良いと評判のシリコン塗料ですが、塗料の分類やグレードによって耐久性や機能性が大きく異なります。

シリコン塗料を使用した外壁塗装工事を行う際は「価格」「耐久性」「機能・性能」のなかで最もご家族が重視したいポイントを押さえているシリコン塗料を選ぶことをおすすめします。

〖シリコン塗料のメリット・デメリット〗

メリット

  • お手頃な費用で塗装が可能
  • 価格と機能性のバランスが良い
  • 種類とカラーバリエーションが豊富
  • 汚れが付着しにくい

デメリット

  • ひび割れが起こりやすい
  • 塗料の密着性が低い
  • ほかの塗料と比較して特別に突出した性能は持っていない
  • 次回の塗り替えまでに必要な耐候性が低め

ラジカル制御塗料

ラジカル制御塗料とは、2010年代に塗料メーカーによって開発されたばかりの新しい塗料になります。

通常、屋根・外壁塗装工事に使用される塗料は主成分である合成樹脂によって塗料の名前が決まるため、アクリル樹脂系ならばアクリル塗料、シリコン樹脂系ならばシリコン塗料となります。

しかし、ラジカル制御塗料の主成分である合成樹脂はアクリル塗料やシリコン塗料などの主成分と同じものになります。

ラジカル制御塗料の「ラジカル」とは、塗料に含まれる色の原料となる顔料が紫外線・酸素・水分などに触れることで生じる劣化因子のことであり、アクリル塗料やシリコン塗料の主成分にラジカルの発生を可能な限り抑制することができる高耐候酸化チタンと光安定剤 (HALS) を配合することで、屋根・外壁・付帯部など外装部分の塗膜が劣化するのを長期間に渡り防ぐことが可能となりました。

とくにラジカル制御塗料はチョーキング現象(白亜化)による劣化への耐性が高く、紫外線などの影響によって外壁の防水性能が著しく低下するのを防ぎ雨漏り、シロアリ被害、カビ・コケ・ひび割れなどの発生を遅らせることができます。

なお、ラジカル制御塗料は比較的新しい塗料ですのでシリコン塗料と比べて知名度も低く積極的に取り扱っている塗装業者があまり多くありません。

しかしながら、シリコン塗料同様 価格と機能・性能のバランスが良い塗料になりますので今後さいたま市内でもラジカル制御塗料を取り扱う塗装業者が増える可能性は十分にあります。

〖ラジカル制御塗料のメリット・デメリット〗

メリット

  • チョーキング現象が起こりにくい
  • 高い防汚性と防カビ性
  • 塗装後の光沢が持続可能
  • 下地を選ばない
  • 耐久性が高い

デメリット

  • 濃い色にできない場合がある
  • シリコン塗料よりもお値段が高め
  • 比較的新しい塗料のため取り扱う塗装業者が少ない

フッ素塗料

屋根・外壁塗装工事にて使用される塗料のなかで最も耐久性が高いフッ素塗料は、昨今さいたま市にて頻発している異常気象によって生じる雨漏りなどの住宅トラブルから大切な家族とお家を守ることができると注目を集めている塗料のひとつです。

シリコン塗料やラジカル制御塗料と比べて塗装費用が高額であることから一般家庭での普及率は低めですが、フッ素塗料には高い耐久性のほかに耐候性・耐熱性・防水性・親水性・低汚染性・耐汚染性・防藻性・防カビ性・耐摩耗性・耐薬品性など様々な機能・性能を持っています。

ただし、メーカーや種類によってフッ素塗料に含有されている成分や比率が少しずつ違いますので、全てのフッ素塗料が同じ機能・性能を有しているわけではない点に注意しましょう。

また、外壁塗装工事にて1度でもフッ素塗料を使用してしまうと今後フッ素塗料以外の塗装工事が行えなくなってしまうことがあります。

フッ素塗料による外壁塗装工事をご検討されている場合、きちんとご家族で話し合って決めることが大切です。

〖フッ素塗料のメリット・デメリット〗

メリット

  • 耐用年数が15年~20年と長く信用性も高い
  • トータルのメンテナンスコストが安い
  • 塗装工事の保証期間が長い
  • ほかの塗料よりも多くの優れた機能性を持つ
  • 光沢感が強め
  • 高い耐候性
  • 長期に渡り外壁の保護が可能

デメリット

  • 費用が高い
  • 一般家庭における塗装実績が少ない
  • 屋根に使用すると耐用年数が短くなる傾向がある
  • 塗膜が硬くひび割れが起こりやすい
  • 帯電性により砂ぼこりなどが付着しやすい
  • 1度フッ素塗料を使用すると今後フッ素塗料以外使用できない
  • フッ素塗料の扱いに慣れていない業者に依頼すると本来の機能性を発揮できない

内装工事の際に使用する塗料の種類



ご家族の生活空間にて塗装工事を行う場合、比較的刺激の少ない水性塗料を選ぶようにしましょう。

さいたま市では内装・内壁の塗装工事の際に油性塗料を使用する塗装業者もいますが、油性塗料は水性塗料よりも人体に悪影響を及ぼす化学物質が多く含まれているものが多く、乾燥時に帰化した化学物質により体調不良や健康被害を訴えるケースも少なくありません。

では、油性塗料は避けて水性塗料であれば問題ないのかというとそうでもありません。

水性塗料のなかには化学物質を含んでいるものもありますので、ご家族の健康と安心・安全な暮らしを守るためにも内装専用の塗料ごとの特徴をきちんと把握したうえで選ぶようにしましょう。

  • 水性塗料

内装・内壁の塗装工事の定番塗料として最も頻繁に使用されている水性塗料は、油性塗料と比べて不快なにおいが発生しにくく人体に与える影響もほとんどないことから安全性の高い塗料として人気があります。

なかでもホルムアルデヒドの放散量が極めて少ない「F ★★★★ (エフ・フォースター)」認定の水性塗料はシックハウス症候群の発症リスクが非常に低いことから小さなお子さまの居るご家庭やペットとの暮らしを楽しむ世帯でも安心してご使用いただくことが可能です。

  • 自然素材

古くから塗り壁の代表素材として使用されている漆喰や珪藻土などの自然素材には人体に悪影響を及ぼす化学物質などが一切含まれておらず極めて安全性の高い塗料です。

漆喰や珪藻土といった自然素材から作られる天然の塗料には、

  • 生活臭を分解する消臭作用
  • シックハウス症候群の原因物質「ホルムアルデヒド」の吸着と分解
  • 外気の影響を受けにくい
  • 防火性に優れている
  • つねに湿度65%を維持することができる調湿作用

など安心・安全で快適な生活空間を維持するための様々なメリットがあります。

ただし、自然素材を原料とする塗料は費用が高く塗装を担当する職人の腕によって仕上がりが大きく左右されるなどのデメリットがあります。

また、近年さいたま市では漆喰や珪藻土の粗悪品や偽物などを扱う事業者が増えています。

自然素材の塗料を用いた内装・内壁塗装工事を行う際は信頼できる腕の良い塗装業者に依頼するようにしましょう。

  • オイルステイン

オイルステインとは、木材の美しい木目を残したままお好きな色へと塗り替えるためのステイン塗料のひとつです。

これまではオイルベースの塗料が一般的でしたが、現在では食器やお子さまのおもちゃにも使用できる食品衛生法20号にも適合した水性タイプのオイルステインもございます。

しかし、水性オイルステインと従来のオイルステインどちらにも木材表面を保護する働きはありませんので、ステイン塗装後は必ず仕上げ材を使い木材表面を保護する必要があります。

金属・木材に使用する塗料の種類



外壁塗装工事では付帯部としてウッドデッキ、フェンス、門戸などの塗装も併せて行われることがあります。

しかし、外壁と付帯部では使用されている素材が大きく違うことも多くそれぞれの素材に合わせた専用の塗料を使用して塗装工事を行わないと塗料が持つ機能・性能を十分に発揮することができず数年ほどで傷みや錆びが発生してしまいます。

金属・鉄部の塗装に最適な塗料の選び方

フェンス、門戸、ベランダの手すり、トタン屋根など鉄部が使用されている塗装工事では、鉄部専用の塗料を使用します。

経年劣化や自然災害などによって塗膜の剥がれやひび割れなどが生じると剥き出しになった鉄部に錆びが発生します。

錆びは鉄部の劣化で最も深刻な状態を示す劣化症状であるため、ケレン作業によって錆びを綺麗に取り除いたのち錆び止め用の塗料で下塗りを行います。

下塗りがしっかり乾いたのを確認したら、耐久性の高い鉄部専用のシリコン塗料もしくはフッ素系塗料で中塗りと上塗りを行います。

外壁塗装工事と同じ塗料を用いて鉄部の塗装を行ってしまうと数年ほどで再び錆びが発生してしまう可能性があります。

外壁塗装時に鉄部への塗装も併せて行う際は見積もりを出してもらった際にエポキシ樹脂系の錆び止め塗料が使用されているか、ケレン作業の工程についての説明があったかなど鉄部専用の塗装工事について確認しておくことがポイントです。

木部の塗装に最適な塗料の選び方

ウッドデッキ、玄関、鼻隠しなどの木部は定期的に保護塗料を用いた塗装工事を行うことで防腐対策や耐候性を維持することができます。

しかし、木部への塗装は非常に難しく外壁保護機能が10年と言われる塗料を使用したとしても平均3年~5年ほどで保護機能が失われてしまいます。

とくに天然木は建材として加工されたあとも調湿作用は失われず、つねに呼吸し膨張と収縮を繰り返します。

塗装工事により木部の表面に保護膜を形成することで紫外線や風雨などから木部を守ることはできますが、木材の調湿作用を止めることはできないため湿度による膨張と収縮が繰り返され少しずつ塗膜が剥がれていきます。

木部を塗装する際は、耐用年数は短い蛾木材の内側から保護することができる浸透タイプの塗料もしくは木材の呼吸に合わせて伸び縮する弾力性の高い弾性塗料を選ぶと良いでしょう。

ひとくちに「塗料」といっても様々な種類があります。



屋根・外壁塗装工事に使用される塗料には様々な種類があり、それぞれの塗料によって特徴、耐久性、メリット・デメリットなどが大きく違うことに驚かれたご家族も多いのではないでしょうか。

四季彩ホームでは屋根・外壁・付帯部など塗装箇所に合わせて最適な塗料をご提案させていただいております。

塗料の種類が多くなかなか決められないとお悩みの際は、ぜひ四季彩ホームまでご相談ください。

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