住宅の豆知識
住宅の基礎を補強して災害に強い家にリフォームを

さいたま市では、2006年1月に改正施行となった「耐震改修促進法」に基づき市内にある建築物への地震に対する安全性の確保と向上を図るため「改定さいたま市建築物耐震改修促進計画」が策定されました。
これまでは安心・安全なまちづくりを推進すべく、1981年6月以前までの耐震基準 (旧耐震基準)をもとに既存建築物への地震対策を行っていました。
しかし、1995年1月 阪神・淡路大震災、2004年10月 新潟中越地震、2011年3月 東日本大震災、2016年4月 熊本地震など震度7の大地震が頻発しており、さいたま市民のあいだでは“いつどこで大地震が発生してもおかしくない状況にある”との認識が広がりつつあります。
そこでさいたま市では、建築物のより一層の耐震化を図るため新たに「改定さいたま市建築物耐震改修促進計画」を策定。
耐震化率の目標を引き上げ地震に強いまちづくりを目指しています。
災害に強い家づくりは「住宅の基礎を補強すること」

2016年4月に策定された「改定さいたま市建築物耐震改修促進計画」によると、さいたま市の総住宅戸数は2015年時点でおよそ488,500戸に対し、およそ87,300戸が1981年6月以前に建築された住宅であることが明らかになりました。
さらに調査の結果、住宅の種類・構造別では、木造共同住宅の耐震化率は80%と低く、木造戸建て住宅で要耐震化とされる住宅戸数が37,800戸と多いことが分かり、さいたま市では地震による人的・住家被害を抑える対策として木造建築物における耐震化が大きな課題となっています。
住宅の耐震化を図るには、住宅を支える土台「基礎」を補強することが最も重要となります。
住宅の基礎とは、居住用の建物と地面をしっかりと固着させて支える土台のことです。
住宅の重みや地震による揺れによって生じた加重やエネルギーを柱・梁・壁を伝って住宅の土台となる基礎部分で受け止められ、そこから地面へと力を逃がすことで住宅全体にかかる加重やエネルギーが均等に地盤へと伝わり重みや沈下などによって大切なお家がダメージを受けるのを防ぐ役割を担っています。
しかし、旧耐震基準が施行される以前に建てられた木造住宅の場合、基礎部分の弱い無筋住宅基礎であったり、経年劣化や周辺環境などによって基礎部分に亀裂・ひび割れなどが生じ耐震性が弱体化していたりと住宅の強度に問題が生じているケースがあります。
また、住宅の強度は耐震診断によって得られる構造耐震指数が示す数値によって大きく変わる点にも注意が必要です。
構造耐震指数とは、住宅の耐震性能を測るための指標になります。木造住宅の場合、構造耐震指数を「lw値」で表します。住宅の保有耐力/耐震のために必要な耐力で算出されます。
一方、鉄筋コンクリート造住宅の場合は構造耐震指数を「ls値」で表します。保有性能基本指数(強度の指数×粘り強さの指標)×形状指標×経年指標にて算出された数値が耐震指標となります。
震度6クラスの地震にも耐えられる強度の高い家づくりを目指すのであれば、新耐震基準を満たす木造住宅ならば「ls値0.6未満」、鉄筋今クリード造ならば「lw値1.0以上」の構造耐震指数になるよう耐震リフォームを行うと良いでしょう。
住宅の基礎を補強することは住宅の寿命を伸ばすことにもつながります。
家族との思い出がたっぷり詰まった大切なお家を地震などの災害から守るためにも住宅を支える基礎部分の強度を維持することはとても重要です。
住宅の基礎補強工事と耐震等級制度の関係性
1981年6月、建築基準法の改正に伴い新たな耐震基準 (新耐震基準)が定められました。
このとき定められた耐震基準は、地震などにより倒壊した住宅・建物によって居住者や周囲の住民が巻き込まれて被害を受ける状況を改善することを目的とするものでした。
ところが旧耐震基準では震度5以上の地震が発生した場合、住宅や建物が倒壊あるいは崩壊しなければ良いという前提で制定された基準であるため、近年頻発している震度6クラスの大地震が発生した場合、住宅が倒壊または崩壊する可能性が高くなります。
そこで国土交通省は2000年に「住宅品質確保促進法」を新たに制定した際、住宅の品質確保の促進として「耐震等級制度」を設けました。
耐震等級制度とは、新耐震基準を満たした住宅の耐震性能に応じて1から3までの等級を割り当て、地震に対する住宅の構造躯体の倒壊・崩壊リスクに対抗する強度を表したものです。
数年に1度の頻度で発生する震度5クラスの地震に対する住宅へのダメージ対策を目的とする場合、耐震等級1でも問題ないとされています。
ところが、耐震等級制度で定められた「震度」には幅があるため、実際に発生した地震の性質によって震度も大きく変わってきます。
とくにさいたま市が想定しているさいたま市直下地震、関東平野北西緑断層帯地震、東京湾北部地震いずれかの地震が発生した場合、耐震等級1ではこれらの地震に住宅が耐えられない可能性が高いとしています。
耐震等級自体は住宅の新築時に施主様ご自身で選択することができますが、既存住宅・中古住宅・建売住宅など既に完成している住宅の場合、既にお家が完成している状態であるため耐震性能を向上させるにはリフォーム工事を行う必要があります。
既存住宅の耐震等級を上げるには屋根の軽量化、柱や壁などの補強など外壁・内壁からの構造補強などのリフォーム工事に加え、住宅の基礎補強工事住宅の基礎補強工事も同時に行う必要となります。
住宅の基礎補強工事を行うことは住宅の強度を示す耐震等級を上げることに繋がると同時に長寿命で地震に強い家づくりが可能となります。
住宅の基礎構造と住宅トラブル

建築物を支える基礎の部分は、建築基準法 施工令38条と告示第1347号に明示されているとおり、建築物の構造・形態および地盤の状況を考慮し国土交通大臣が定める構造方法を用いるものとしなければなりません。
また、例外を除き、長期間にわたり地盤に生じる力に対する許容応力度に応じて最低限満たすべき建築物の基礎構造および構造計算の基準が異なる点にも注意が必要です。
とくに住宅の基礎は居住スペースとなる建物すべての重みを基礎部分で受け止め、地盤へと伝える非常に重要な役割を担っている部分になります。
経年劣化や居住地の周辺環境などの影響による性能不足、基礎の施工不良により住宅の基礎部分に障害が生じた場合、ひび割れ(クラック)などが発生します。
住宅の基礎部分に生じたクラックを放置してしまうと、ひび割れ部分から雨水などが侵入し基礎内部の鉄筋を錆びつかせて住宅の耐震性能を低下させる原因となります。
また、基礎部分に生じたひび割れのなかには地盤沈下や不同沈下など深刻な住宅トラブルを示すサインである可能性もあります。
住宅の基礎部分にひび割れが発生しているのを発見した際には、1度建築物の基礎構造に詳しい耐震工事を得意とするリフォーム会社に基礎部分の調査・点検を行ってもらいましょう。
住宅の基礎部分の主な劣化症状
- ヘアークラック
基礎部分に生じた幅0.3mm以下の比較的小さなひび割れ。
ヘアークラックは基礎構造に影響を与える可能性が低いひび割れになりますので、基本的には補修対象外となります。
しかし、基礎に使用されているコンクリートは吸水性の高い素材になりますので降水量・降雪量の多い地域にお住いの場合、コンクリートが水分に触れている時間が長くなるためコンクリートが中性化しヘアークラックから基礎内部へと雨水などが侵入する可能性があります。
- 構造クラック(貫通クラック)
基礎の内側から発生したひび割れが裏側まで貫通している幅0.3mm以上 深さ4mm以上のひび割れ。
設計・施工時の欠陥、地震、地盤沈下、周辺環境の影響などが原因で起こる劣化症状であり、補修をせずに放置してしまうと基礎内部に雨水などが入り込み、鉄筋を錆びつかせて住宅の耐震性能を低下させる原因となります。
少しずつひび割れが増えている、ヒビ割れの幅が広がっているなどの症状がみられる場合、地盤沈下や不同沈下が起こっている可能性があります。
早急に専門家に基礎部分の調査・点検を依頼しましょう。
- 同じ箇所に生じた細かなひび割れ
1m以内に3つの以上の細かなひび割れが生じている場合、何かしら基礎構造への影響が生じている可能性があります。住宅構造に深刻な問題が起こる前に1度耐震工事を得意とするリフォーム会社に基礎部分の調査・点検を行ってもらうと良いでしょう。
- 上下に伸びた亀裂
基礎を左右で分断するかたちで上から下まで伸びた亀裂が発生している場合、早急な基礎の補強・補修工事を行う必要があります。
たとえ幅0.3mm以下の小さな亀裂であっても住宅構造に深刻な問題が生じている可能性があります。
このような亀裂を見つけたら早めに基礎の補強・補修を行いましょう。
- 斜め・水平方向に生じた亀裂
住宅の基礎部分に生じる劣化症状は基本的に上下にひび割れが現れるのですが、設計・施工時に何かしらのトラブルが生じたことを示すサインとして通常とは異なる斜め・水平方向に亀裂が生じるケースがあります。
このような状態では住宅本来の耐震性能を十分に発揮することができません。
斜め・水平方向に生じた亀裂を見つけたら、早めに信頼できるリフォーム会社に調査・点検を行ってもらいましょう。
- 雨染み
住宅の基礎内部に雨水などの水分が侵入した際に現れる現象になります。
基礎部分の雨染みは主にひび割れ・亀裂が発生している周辺に現れることが多く、褐色の染みは基礎内部の鉄筋によるサビ汁になります。
このような劣化症状が現れた場合、基礎部分の強度が低下している可能性があります。
基礎部分に使用されているコンクリートには防水性がありませんので、まれにひび割れ・亀裂が生じていない箇所にサビ汁が現れることがあります。
基礎部分に現れる雨染みを防ぐには、基礎部分に雨水が侵入しないよう基礎の塗装工事を行うのが有効です。
- 爆裂現象
基礎に生じた劣化症状など放っておくと、ひび割れや亀裂が広がりコンクリートの剥がれ・滑落が発生します。
基礎内部への水分の侵入を防ぐことが難しく地盤沈下・不同沈下の発生リスクが高くなります。
また、住宅の耐震性能にも大きな影響を与えるにもなる非常に危険な状態です。
このような状態になると基礎の補強・補修工事も高額になってしまいますので、爆裂現象が現れる前に基礎の補強・補修を行うようにしましょう。
基礎部分の補強・補修工事を行う際の注意点

さいたま市にお住いのご家族のなかには、昨今のDIYブームもあり基礎の補強・修復工事をご自身で行うケースも増えています。
ヘアークラックなど比較的軽度なひび割れ・亀裂であれば施主様ご自身で基礎の補修工事を行っても問題ありません。
しかし、基礎部分に発生したひび割れ・亀裂のなかには住宅の構造に関わる症状も多く、施主様ご自身で修復するのはたいへん危険です。
基礎部分の調査・点検の結果、いますぐ補強・補修工事が必要と判断された場合は、基礎部分の状態や劣化症状に合わせて調査・点検を行った事業者と相談しながら補強・補修工事を行いましょう。
主な基礎補強・補修工事の種類
- Uカットシール工法 (Vカットシール工法)
基礎部分のコンクリートに生じたひび割れ・亀裂をU字型またはV字型の溝入れ専用電動工具「ディスクグラインダー」を使って部分的に削り取ります。
削り取った箇所にシーリング材(エポキシ樹脂)を充填し、上からモルタルなどを塗布して表面をキレイに整えていく補修方法になります。
幅0.3mm以下のヘアークラックなどの補修工事に用いられることが多いですが、幅の広いひび割れ、シーリング材を奥まで充填できない深い亀裂などの補修工事にも対応可能です。
- ビックス工法
ひび割れ・亀裂が生じた基礎部分の表面に付着した汚れを落としたあと、ひび割れ・亀裂の中心部に専用のパイプを取り付け、そこにゴム製の注入器を取り付けます。
ゆっくりとゴムの圧力を利用してシーリング材(エポキシ樹脂)を基礎内部へと注入します。
シーリング材がしっかり固まったのを確認したら、取り付けたパイプと注入器を取り外し、表面をキレイに整えていく補修方法になります。
幅0.1mmほどの細やかなひび割れ・亀裂の補修工事にも用いられています。
- アラミド繊維シート工法
高性能繊維のひとつ「アラミド繊維」を素材とする専用シートを住宅の基礎部分に貼り付け、上からモルタルなどを塗布して表面を滑らかに整えていく補修方法になります。
1960年代に誕生したアラミド繊維は、高強度・軽量、高耐久性、衝撃吸収性、非電動・非磁性、電波透過性などに優れた3大合成繊維のひとつであり、建築分野だけではなくタイヤ・光ケーブルの補強材や防弾チョッキなど幅広い分野で使用されているハイテク繊維のひとつです。
住宅の基礎部分に生じたひび割れ・亀裂などの劣化症状を補修しつつ、基礎の強度を向上させることができる補強・補修工事であり、住宅の耐震性の向上を期待することが可能です。
「パワーアラスト」を使用した基礎補強工事とは?
Uカットシール工法やアラミド繊維シート工法など基礎部分の補強・補修工事には様々な種類があります。
しかし、より本格的な基礎補強工事をお考えの場合、柱・梁・壁の強化、杭の補強など大規模なリフォーム工事が必要となりリフォーム費用も100万円以上と高額となります。
そこで四季彩ホームでは、住宅基礎の補強工事に特化した「パワーアラスト」という耐震補強材を使用した基礎補強工事をご提案させていただいております。
パワーアラストとは、1981年6月以前に建築された無筋構造住宅の基礎、ひび割れ・亀裂などにより劣化弱体化した住宅基礎の耐震補強工事に使用される補強材です。
2011年3月に発生した東日本大震災では、パワーアラストを施した木造住宅の多くが大きなダメージを受けることなく倒壊・崩壊を免れており、耐震補強材としての役割を十分に発揮したと高評価を得ています。
パワーアラストを用いた基礎補強工事の工事期間は基礎部分の状態などによって異なりますが平均2~3日ほど、費用相場も30万円程度と他の基礎補強・補修工事と比べて比較的短期間でお手頃な価格となっています。
また、さいたま市では昨今頻発している地震への対策としてより強固な耐震性能をお考えのご家族も増えており、パワーアラストとアラミド繊維シートを組み合わせた基礎補強・補修工事のご相談も多数いただいております。
パワーアラストを用いた住宅の基礎補強・補修工事をお考えのご家族は、ぜひこの機会にご相談ください。
住宅の基礎補強工事で地震から大切な家族とお家を守りましょう。

現在さいたま市では地震に強いまちづくりを目指し、2006年1月に改正施行となった「耐震改修促進法」に基づき更なる住宅・建築物の耐震化を図っています。
しかし、住宅の基礎補強工事は高額なリフォーム工事となりますので、家計の都合上どうしてもリフォーム工事を依頼することが難しいご家族も少なくありません。
四季彩ホームでは、さいたま市にお住いのご家族が安心・安全に暮らせるよう住宅リフォームの一環として基礎補強工事を承っています。
現在お住いの住宅の状態や周辺環境をしっかり調査し施主様ご家族のご予算に合わせた基礎補強工事をご提案させていただいております。