住宅の豆知識

バリアフリー住宅とは?住まいづくりの事例と最新補助設備のご紹介

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2006年12月、国土交通省は「ハードビル法」と「交通バリアフリー法」を統合・拡充し、新たに「バリアフリー新法」が施行されました。

かねてから“誰もが住みよい福祉のまちづくり”に力を注いでいるさいたま市では、子どもから高齢者・障がい者まですべてのさいたま市民が安心・安全に暮らせる住み心地の良いまちを目指し、ソフトとハードの両面からより効率的に運用を図ることを目的とするバリアフリー条例の施策を行っています。

なかでも、多様なニーズに対応した住宅整備やすべての市民が安心・安全な日常生活を過ごせるよう住生活のサポート体制の整備等の住宅施策については、さいたま市民と行政が積極的に協働し取り組んでいます。

ところで、さいたま市が推進するバリアフリー条例の“バリアフリー”とは、いったいどのような意味なのか詳しくご存じですか。

知っているようで意外と知らないバリアフリーとは?



バリアフリーとは、高齢の方、ケガや病気などで身体に障がいをお持ちの方が日常・社会生活を送るうえで障壁となっているものを1つずつ取り除いていくことです。

もともとは建築用語として用いられていた言葉だったのですが、時代の流れと共に他分野でも使用されるようになり、

いまでは高齢者や障がい者だけではなく、小さな子どもや妊娠中の女性などすべての人が安心・安全かつ円滑に社会参加ができるよう“バリアを取り除く”という広い意味で使用されています。

また、現在では「バリアフリー」と同じく、「ユニバーサルデザイン」という言葉も併せて使用されることが増えています。

ユニバーサルデザインとは、アメリカ・ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス教授によって1980年代に考案されたデザインのことです。

バリアフリーとは違い、年齢・障害の有無・国籍・性別・人種など問わず、すべての人が安心・安全に暮らせる住み心地の良い都市・生活環境をデザインすることが目的となっています。

住まいにおけるバリアフリーとユニバーサルデザインの違い



バリアフリー住宅とは、高齢者や障がい者が安心・安全に暮らせるよう、既存の住宅をリフォーム・増改築することで快適な生活ができるようにバリアを取り除いていきます。

一方、ユニバーサルデザイン住宅は、間取り図の作成段階からバリアを取り除き、そこに住む人たち全員が安心・安全に暮らせる住み心地の良いお家になるようデザインすることです。

バリアフリーとは、特定の人物が日常・社会生活を気持ちよく過ごせるよう、専用の補助設備を後からプラスするのに対し、ユニバーサルデザインは不特定多数の人物が日常・社会生活を快適に過ごせるよう事前にデザインすることが目的となります。

バリアフリーとユニバーサルデザインでは、対象者となる範囲に違いはありますが、そこに住んでいる人たちが安心・安全で快適な日常・社会生活を過ごせるようにという目的はまったく同じです。

ユニバーサルデザインでは追い付かない部分もバリアフリーでカバーすることで、より良い社会を築くことができます。

参考にしたいバリアフリー住宅づくりの事例



これから住宅のバリアフリー化を始めようとお考えのご家族にとって、気になるのがバリアフリー化の方法です。

バリアフリー住宅の基本は、お家の中から段差をなくすことです。

しかし、高齢者・障がい者が安心・安全に暮らせる快適な住まいづくりを目指すためには、段差だけではなく浴室やトイレ、玄関などお家の様々な箇所にもバリアフリーを取り入れることがポイントです。

そのなかでも、とくに優先的にバリアフリー化を進めたい「浴室」「トイレ」「玄関」3つのリフォーム事例をご紹介します。

浴室のバリアフリー化



年齢を重ねると血圧を正常に保つ機能が低下するため、脱衣所と浴室の寒暖差や入浴中にかかる水圧などにより急激な血圧の変動が起こると脳内を流れる血液の量が減少し、意識を失ってしまう危険性があります。

また、浴室の床は滑りやすくバランスを崩しやすいので、転倒によるケガや溺死などのリスクも高くなります。

ただし、浴室のバリアフリー化は設備や工事方法などによってリフォーム費用が大きく変わってきます。

浴槽付近に手すりを取り付けるだけの簡単なリフォームであれば数万円程度で行うことが可能ですが、寝たきりの状態でも入浴可能なバスリフトの導入となると数百万円のリフォーム費用が必要となります。

浴室のバリアフリー化は、バリアフリーリフォームのなかでもっとも出費が大きいポイントになりますので、将来の負担を少しでも軽減させたいとお考えのご家族は、リフォーム費用が高額になりそうな箇所を新築のタイミングで取り入れておくと良いでしょう。

トイレのバリアフリー化



1日に何度も利用することになるトイレは、介護する側とされる側にとっても重要なポイントになります。

若いころは誰の手も借りずにできていた排せつ行為ができなくなったことで、大きなショックを受ける高齢者・障がい者も少なくありません。

介護する側は、介護される側が自立して1人でトイレに行けるよう、最大限のサポートを行うことが大切です。

トイレのバリアフリー化で優先すべきは、L字型の手すりを便座付近に設置することです。

排せつ時は立ち座りの上下運動が基本となるため、L字の縦部分が便座の先端から200mm~300mmほど前にくるようにし、横部分は便座から230mm~300mmほど高い位置にくるように設置すると身体に負担をかけることなく、スッと立ち上がることができます。

ほかにも、ヒートショック対策として壁面暖房機の設置、便座の高さを調節するトイレリフトの導入など様々なバリアフリーリフォーム方法があります。

トイレのバリアフリー化は、いますぐ介護・介助が必要という状況でなければ、必要となったときにリフォーム工事を行うのが一般的です。

しかし、将来トイレの入り口を2つにしたい、トイレ全体を広くしてドアを引き戸タイプにしたいとお考えのご家族は、新築時に行っておかないと、後々高額なリフォーム費用が発生する可能性があります。

玄関のバリアフリー化



居間・リビングに次いで転倒リスクの高い玄関のバリアフリー化でもっとも悩むポイントは、スロープの設置と家の上り框(かまち)の段差を解消する方法ではないでしょうか。

ご家族や友人・知人などに車いす利用者がいないのであれば、スロープの設置は不要です。

しかし、予期せぬ事故やケガによって車いすを利用する可能性や将来車いすでの介護が必要となるケースもあります。

あとになってスロープを設置することもできますが、スペース的な問題や高額なリフォーム費用などによってスロープの設置が難しくなる場合があります。

玄関のバリアフリー化を行う際、将来のためにと家の上り框をなくしてしまうのは避けましょう。

上り框の役割は、お家の外と中にしっかりと境界線を引くことだけではなく、一時的な荷物置き場や腰掛けなど様々な場面で活用される大切な場所です。

けれども、上り框につまづいて転倒してしまうリスクが高まることも事実です。

近年では、上り框のバリアフリー化も進んでおり、これまでは20cm~25cmあった高さも現在では高低差5cm前後が一般的となっており、上り框による高齢者・障がい者の転倒リスクが低減しています。

最新バリアフリー補助設備の紹介



バリアフリー補助設備は日々進化しており、これまで以上に高齢者・障がい者が安心・安全に暮らせる住まいづくりが可能となりました。

介護アドバイザー監修のもと考案された有限会社 徳毛レジンの昇降式洗面台「だんだん」は、車いす利用者の身長・座高・身体の状態などに合わせて洗面台を床面から高さ620mm~770mmまで30mm単位で6段階の調節機能が付いており、これまで車いす利用者にとって難しかった手洗いうがい、洗顔、歯磨きなどが気軽に行えるようになりました。

日本住宅パネル工業協同組合より発売された折り畳み椅子「ウォールチェアー」は、壁面に取り付けて使用するタイプの折り畳み椅子です。

靴を履くときやお家の掃除中に疲れてしまったときなど“ちょっと座りたいな”と思ったとき、引手を軽くつかんで手前に引き、座板を引き出すだけで簡単に椅子が完成します。

壁面にすっぽり収納することができるため、廊下のスペースを取らず、掃除もらくちん。

使用後はワンタッチで再収納が可能なのも嬉しいポイント。

ほかにも、二世帯住宅にぴったりな狭小設計キッチン【Dante】や既存の床材の上に直接施工可能な耐摩耗性・耐キャスター性に優れたフラットな床材「エコクイーンフロア」など、さまざまな最新バリアフリー補助設備があります。

ただし、ひとくちに「バリアフリー住宅」と言っても、身体機能、障がいの種類や度合いなどが1人1人異なるため、どんな場所にどのような補助設備が必要となるのか、実際に使用する人の目線になって取り入れることが大切です。

バリアフリー住宅とは、家族全員が不自由なく快適に暮らせること。



バリアフリーへの関心が高まっているさいたま市では、経年劣化による住宅の老朽化、家族構成の変化、セカンドライフへの期待などをきっかけに、いま住んでいるお家をバリアフリー住宅へとリフォームしたいとお考えのご家族が増えています。

四季彩ホームでは、お客様の目線に立って施主様ご家族が本当に必要とされているバリアフリー工事をご提案させていただいております。

ぜひこの機会にご相談ください。