住宅の豆知識

知っているとお得!クーリング・オフ制度と消費者センターについて

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2018年に埼玉県で行われた「住宅・土地統計調査」の結果、埼玉県の持ち家数は198万7,700戸であり、全国第4位であることが明らかになりました。

なかでも、市誕生以来、転入者が増加傾向にあるさいたま市では、子育て世帯や高齢世帯を中心に持ち家率が持ち直しています。

しかし、持ち家率が増加したことで「何度断っても強引な勧誘が続く」「脅されて怖くなり、焦って契約書にサインをしてしまった」「うっかり契約してしまい、のちに調べてみると悪評で有名な業者だった」など、リフォーム業者や屋根・外壁塗装業者との契約トラブル件数が年々増えており、深刻化しています。

このような契約トラブルから消費者を守るため、政府は1972年より「クーリング・オフ制度」を導入したのですが、クーリング・オフ制度を正しく理解されているさいたま市民はごくわずかであり、住宅関連の契約トラブルに見舞われてもクーリング・オフ制度を利用できずに泣き寝入りするケースが相次いでいます。

今回は、リフォームや屋根・外壁塗装工事における契約トラブルを回避するためのクーリング・オフ制度の手続き方法とトラブルに見舞われた際の相談窓口「消費者センター」の利用方法についてご説明します。

クーリング・オフ制度とは



クーリング・オフ制度とは、消費者が特定商取引法に規定される訪問販売や電話勧誘などで商品の購入、サービスの申し込み、契約の締結を行った場合でも、この契約は本当に正しかったかどうかをじっくりと考える時間を設け、一定期間であれば無条件で購入・申し込みの撤回、契約の解除ができる制度です。

すでに商品やサービスを利用している場合であっても、一定期間内であれば業者負担のもと、商品の引き取りやサービス停止を行うことができます。

業者のなかには、クーリング・オフを行ったことで既払金の没収、損害賠償・違約金の支払いなどが生じると言ってくることがありますが、そのような支払い義務等は一切ございませんのでご安心ください。

クーリング・オフが可能な期間と取引形態



クーリング・オフ制度を利用する場合、気を付けなければならないことが1つあります。

それは、特定商取引法に規定される取引形態ごとにクーリング・オフ期限が違う点です。

事業者が直接施主様の自宅に訪問もしくは電話をかけて、リフォームや外壁塗装工事の提案・勧誘・説得などを行った場合、クーリング・オフ期限は「法定書面の受領日より8日間」となります。

しかし、新聞・チラシ・webサイトなどで事業者の広告を見て、施主様自ら事業者に連絡して契約を行った場合、クーリング・オフできませんのでご注意ください。

クーリング・オフが可能な取引形態

  • 訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的薬務提供
    法定書面の受領日より8日間
  • 連鎖販売取引
    法定書面の受領日より20日間
    ※商品・サービスの再販売等があり、初回の商品引き渡しを受けた日が書面より後の場合、その日を含めた20日間
  • 業務提携誘引販売取引
    法定書面の受領日より20日間
  • 訪問購入
    法定書面の受領日より8日間
    ※8日間のあいだ商品の引き渡しを拒むことも可能
  • 通信販売
    法律上、クーリング・オフができない


通常であれば、リフォームや屋根・外壁塗装工事などを契約したあと、法定書面の受領日より8日間であればクーリング・オフを行うことで無条件に契約を解除することが可能です。

しかし、クーリング・オフ期間内であっても条件によってはクーリング・オフが適用されない場合があります。

① 正規の契約書を用いて契約を締結させたあと、クーリング・オフ期限である8日間を過ぎてしまった

② 施主様ご自身で業者を自宅に呼んだ

③ 施主様が直接事業者の店舗または事務所に赴き契約を取り交わした

④ 契約金額が3,000円未満の現金取引

⑤ 過去1年間に取引実績のある事業者と契約を取り交わした

⑥ 国外で契約を取り交わした

このような状況で事業者との契約を取り交わした場合、残念ながらクーリング・オフを行うことができません。

クーリング・オフ制度の手続き方法



リフォームや屋根・外壁塗装工事に関して、契約内容に少しでも疑問や不満があればクーリング・オフ制度を視野にご家族としっかり話し合いましょう。

家族会議の結果、クーリング・オフを行うことを決めた場合、事業者宛てにクーリング・オフを行う旨を記載した速達証明付き内容証明郵便を送付しましょう。

法律上、メールやハガキなどを使用することは禁止されておりませんが、後日メールやハガキが届いていないなどのトラブルに発展するケースがございますので、“きちんと連絡をした”という証拠を残すためにも、速達証明付き内容証明郵便による手続きを行うのがおすすめです。

クーリング・オフ通知書の書き方



クーリング・オフ通知書には、どのような契約をクーリング・オフしたいのかを明確に記載する必要があります。

そのため、クーリング・オフ通知書には、必ず「表題」「契約書受領日」「契約会社名」「契約担当者(※割賦払いを希望した場合、クレジット会社名も記載)」「工事内容または工事名」「契約金額」「契約解除に対する意思表明」「通知書の作成日」「施主様の住所・氏名」を明記しましょう。

リフォームや屋根・外壁塗装工事のような高価な買い物の場合、支払い方法をクレジットカード払いにしている施主様もたくさんいます。

その場合、支払いに利用したクレジット会社にもクーリング・オフ通知書を送付する必要があります。

クーリング・オフ通知書を作成する際の注意点

  • 同じ内容の書面を事業者用、郵便局で保管する用、施主様の保管用として3部用意する
    ※ 支払方法をクレジット払いにした場合、クレジット会社用として4部必要となります。
  • 1枚の書面に記入できる文字数は、縦書きならば1行20文字以内×1枚26行以内で記入する
    ※ 横書きの場合、「26文字以内×20行以内」「20文字以内×26行以内」「13文字以内×40行以内」のいずれかで記入してください。
    ※ 書面が2枚以上になる場合、ホッチキスなどで閉じたら閉じた場所に割印を捺印しましょう。
  • 使用できる文字は、漢字・ひらがな・カタカナ、数字のみ。英字は事業者の社名等に限り使用可能。
  • 書き損じた場合、書き間違えた文字の上から二重線を引き差出人の訂正印を押印後、正しい文字を書く
  • 郵送日の年月日、差出人と受取人の住所・氏名を明記
  • 封筒に記載する差出人・受取人の住所・氏名は書面に記載したものと統一させる

これらの注意点をきちんと守っているかどうか、書面を隅々までチェックしてから郵便局にて手続きを行うようにしましょう。

クーリング・オフ通知書を事業者に送付する方法



内容証明郵便にてクーリング・オフ通知書を事業者に送付する場合、最寄りの郵便局窓口にて手続きを行う必要があります。

内容証明郵便は一般的な郵便とは違い、1通につき1,000円ほどの手数料が発生します。

やや高いと感じるかもしれませんが、郵便局側が「いつ」「誰が」「誰宛てに」「どんな郵便物を出したのか」を証明してくれるサービスですので、万が一、裁判に発展した場合の有力な証拠となります。

さらに速達証明をオプションで付けることで、いつ、誰が郵便物を受け取ったのかまで郵便局が証明してくれます。

ただし、事業者側はクーリング・オフの通知が可能な期間が法定書面の受領日より8日間であることを理解しているため、わざと施主様にクーリング・オフをさせないように施主様からの問い合わせに対応しない、通知書を無視するといった時間稼ぎを行う場合があります。

しかし、内容証明郵便を送付すれば、クーリング・オフに関する記録を確実に残すことができますので、クーリング・オフを確実に成功させたい施主様は、できる限り早めにクーリング・オフ通知書を作成し、内容証明郵便にて事業者に送付しましょう。

悪質な契約トラブルの相談は消費者センターへ



契約内容に気になる点があり、クーリング・オフをしたい旨を伝えると、「すでに工事が始まっているから、契約の解除はできない」という事業者も多々あります。

ですが、クーリング・オフ期間中であれば、たとえ工事が始まっていたとしても一定の条件を満たしていればクーリング・オフを行うことが可能です。

しかし、事業者に連絡を取りたくても住所と電話番号が変わっていて連絡がつかない、内容証明郵便を送付したが相手不在で返送されたなどの悪質な事業者も多々あります。

この状態では、クーリング・オフをしたくても行うことができません。

このような悪質な契約トラブルに見舞われた場合、消費者ホットライン「188」へ連絡し、トラブルの早期解決を図りましょう。

消費者ホットラインでは、消費生活相談員・消費生活アドバイザー・消費生活コンサルタントなどの資格を持った相談員による迅速なトラブル解決を図るサポートを行っています。

なお、相談内容によっては、各地方自治体が管轄する消費者センターにて、施主様より更に詳しいお話をお伺いし、悪質な業者と交渉する方法や弁護士に相談できる窓口の紹介など、施主様の相談内容に合わせた適切な解決策を案内することもあります。

現在さいたま市内には、3つの消費者センターがあります。

  • 消費生活総合センター(大宮駅西口JACK大宮6階)
  • 浦和消費生活センター(浦和駅 東口・コムナーレ9階)
  • 岩槻消費生活センター(岩槻区役所 3階)

いずれも電話または来所での相談となります。聴覚に障害をお持ちの方のみ、電子メールまたはファックスでの問い合わせが可能となっております。

まずは業者に連絡を取り合うことがもっとも大切です。



リフォームや屋根・外壁塗装は決して安い買い物ではありません。

しかし、工事を請け負う事業者のなかには、残念ながら悪い考えを持っている事業者も少なからずいます。

さいたま市では、悪質な契約トラブルから市民を守るため、クーリング・オフ制度の正しい知識と手続き方法、そして契約トラブルに見舞われた際の相談窓口「消費者センター」の利用方法について呼び掛けています。

四季彩ホームでは、他社様の訪販によるクーリング・オフ相談を受け付けております。
ぜひこの機会にご相談ください。