住宅の豆知識
バリアフリーリフォーム成功のコツとは?人気の箇所別ポイントをご紹介!
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ここ数年、さいたま市では30歳代から50歳代を中心に将来を見据えたバリアフリーリフォームの潜在需要が高まっています。
しかし、ひとくちに「バリアフリー」と言っても、デザインや取り入れ方は実に多種多様であり、将来どのようなバリアフリーが必要となるのか想像のつかない施主様もたくさんいます。
とくに若くて元気いっぱいな世代の場合、どんなに将来を見据えたバリアフリー住宅づくりを意識したとしても、どの箇所をどのようにリフォームすべきかを決めるまでに相当な時間を要します。
そこで今回は、とくに人気の高い箇所をバリアフリー化する際に押さえておきたいリフォーム工事ポイントをご紹介します。
意外とバリアフリー化が難しい人気のキッチンリフォーム
毎日使うはずのキッチンですが、なんと意外にもバリアフリーリフォームでは優先順位の低い箇所となっています。
その理由は、バスルームやトイレと比べると、不便性を感じにくく、ヒートショックなどの命に係わる危険なトラブルが起こりにくい箇所だからとされています。
しかし、家族全員が毎日頻繁に訪れる場所であるキッチンは、本来ならば最優先でバリアフリーリフォーム工事をすべき箇所ではないかという意見もあります。
キッチンのバリアフリー化ポイント
座った状態でも作業しやすいシステムキッチンを選ぶ
健康で元気なときは長時間立ちっぱなしでもキッチンに立ち続けることができます。
しかし、事故やケガで足腰を痛めてしまったときや体力が落ちて長時間立っていることができないときは、一時的に座った状態でキッチン作業を行わなければなりません。
国土交通省が策定した「建築設計基準(平成28年度改正版)」によると、車いす利用者が座ったときの目線の高さは男性の平均が115cm、女性の平均は105cmとあります。
システムキッチンの標準的な高さはJIS規格によって80cm・85cm・90cm・95cmと定められていますので、さいたま市内にあるショールームや住宅展示場に足を運び、車いすやイスに座った状態で調理台全体を見渡すことができるか、コンロ使用時にフライパンや鍋を手元に下して調理の様子を確認できるかチェックしましょう。
なお、バリアフリーリフォームを得意とするリフォーム業者の場合、高さ調節可能なキッチンを提案するメーカーやキッチン設置部分の床が上下するリフォーム工事が可能なケースもあります。
シンク下に足の入るスペースを確保する
一般的なキッチンではシンク下に収納スペースが用意されています。
しかし、シンク下に収納スペースがあると車いすやイスに座った状態でシンクを利用するとき、シンクと利用者のあいだに一定の距離が生まれてしまい、食器や調理器具などを洗いたいとき不便さを感じてしまいます。
とくに車いす利用者の場合、手動・電動タイプともに全長平均950mm~1,100mmありますので、シンクから遠く離れた位置から作業をしなければならず、シンクの利用が困難になってしまうことも。
シンク下に足が入るスペースを設けてしまうと収納スペースが不足するのではないかと心配になってしまうご家族もいるかと思いますが、頭上部分に昇降収納を設置して収納スペースを設けることで不足しがちな収納スペースをしっかり確保することができます。
幅広くて通り抜け可能なキッチン通路にする
日本ではキッチンに立つ人が1人である場合、キッチンの通路幅は80cm~90cmあれば十分としています。
しかし、車いす利用者の動作空間は車いすの各部寸法によって決まるため、一般的な80cm~90cmのキッチンの通路幅では、動くたびに車いすのステップ板が食器棚などにぶつかったり、冷蔵庫のドアを開閉しにくかったりとスムーズにキッチン作業を進めることができません。
車いす利用者がキッチン通路をスムーズに移動するためには、車いすの幅員よりも150mm~250mm程度広い通路幅が理想となります。
車いすの幅員は利用目的や環境、メーカー、種類などによって異なりますが、JIS規格によって手動タイプならば平均530mm~650mm、電動タイプは平均700mm程度と定められています。
車いす利用者がスムーズに利用できるキッチン通路を確保するならば、通路幅110cm~120cm程度あると良いでしょう。
また、通り抜け可能なアイランドキッチンもしくは対面式タイプのI型キッチンならば、より効率的かつスムーズなキッチン作業を実現させることができます。
調理中の事故やケガを未然に防ぐリフォームアイディアを取り入れる
キッチンには、床材の小さな段差や火を扱う設備など危険がたくさんあります。
バリアフリー対応のキッチンを目指すのであれば、細やかな点にまで気を配ることが大切です。
たとえば、
- キッチン周辺をクッション性のある滑りにくく段差の少ない床材を選択する
- 車いすが走行・方向転換しやすい床材を選ぶ
- 調理中に火が燃え移ってしまわないように防火性の高い壁材を採用する
- 火の消し忘れなどに備えて安全装置の付いた設備を導入する
- 車いすやイスから立ち上がるときの転倒防止に手すりを設置
など、高齢者・障がい者だけではなく、同じお家に住む全ての人が安心・安全に利用できるキッチンへとリフォームすることがポイントです。
優先的にバリアフリー化したいお風呂リフォーム
将来を見据えたバリアフリー住宅づくりを考えるとき、真っ先に優先したいリフォーム箇所として挙げられるのは「お風呂」ではないでしょうか。
厚生労働省による「人口動態統計」によると、家庭内で起こる不慮の事故死のうち約30%以上がお風呂・浴室内での溺水・溺死によるものであり、とくに毎年11月~3月にかけての寒い時期になると65歳以上の救急搬送車数が大幅に増えていることが明らかとなりました。
高齢者によるお風呂・浴室での不慮の事故死を防ぐためには、浴室内での転倒や浴槽への転落、ヒートショックと呼ばれる健康被害などを未然に防ぐことがポイントとなります。
お風呂のバリアフリー化ポイント
浴室利用時に起こりやすい転倒対策
お風呂をバリアフリーリフォームする場合、まず第1に注意しなければならないは出入り口の段差です。
年齢を重ねると小さな段差でもつまづいてしまうことが多くなるため、バリアフリーリフォーム工事を行う際には、脱衣所や浴室の出入り口を完全になくして段差を取り払っておきましょう。
ただし、脱衣所や浴室の出入り口の段差を完全に取り除いてしまうと、脱衣所側に漏水しやすくなるというデメリットがあります。
浴室からの漏水を防ぐため、どうしても脱衣所や浴室の出入り口に段差を作らなければならない場合は、2cm以上の段差を作らないようにすることがポイントです。
なお、バリアフリーリフォーム工事を得意とするリフォーム業者であれば、新たな排水機能を設置するなど最新の漏水対策を提案してくれる場合があります。
浴室内における転倒対策
脱衣所と浴室への出入り口にある段差対策だけではなく、浴室利用時の転倒防止対策も忘れてはいけません。
浴室の床は水に濡れるとたいへん滑りやすくなります。
とくに頭や身体を洗った後の床面にはシャンプーやボディソープなどが残っているため、浴槽に入ろうとしたときに滑って転んでしまうことも少なくありません。
また、加齢により足腰が弱まっている高齢者にとって、縁が高く深めの浴槽は身体への負担が大きいうえに、転倒リスクも高くなります。
浴室を高齢者が安心・安全に利用できる寛ぎの空間へとリフォームするならば、
- バリアフリーに適した床材を選ぶ
- 出入り口の前、シャワーの横、浴槽内部などに手すりを設置する
- 浴槽の縁は足腰に負担のかかりにくい高さ30cm~40cmで広めのものを選ぶ
- 傾斜のある浅めの浴槽デザインを選ぶ
など、身体が自然にリラックスできる負担の少ない浴槽や床材を選択するのがポイントです。
突然の入浴トラブルにも対応できる非常ブザーの導入
高齢者・障がい者が入浴中、何かしらの入浴トラブルが発生した場合、ご家族の誰かが直ぐにお風呂場に駆け付けられるように非常ブザーを設置しておくと万が一のときも安心です。
お風呂場に設置できる非常ブザーには、紐を引くタイプや押しボタンタイプなど様々な種類がありますので、設置場所を取らず操作しやすい製品を選び、浴槽の縁など目につきやすく手の届く場所に設置しておくと良いでしょう。
人気メーカーやデザイン性だけで選んではいけないトイレリフォーム
リフォーム工事にてトイレをバリアフリー化する場合、人気メーカーやデザイン性を重視してしまうと将来介護が必要になった際、介護される側と介護する側どちらにとっても使いにくいトイレになってしまう可能性があります。
とくに介護される側にとって、これまで1人で出来ていた排せつを家族や他人に手伝ってもらわなければならないことに対する恥ずかしさ、情けなさは介護する側には分かりません。
トイレのバリアフリー化は、介護される側の身体状態に応じてリフォーム工事を行うことがポイントです。
杖や介助者の支えがあれば自力でトイレまで移動して1人で排せつできる場合
- 便座前方に60cm以上スペースを設ける
- 便座後方は介助者1名が側面で介助できるように50cm以上のスペースを設ける
- トイレの出入り口は介助者と一緒に入れるサイズ75cm以上にする
- トイレ全体の面積は約0.4坪~0.5坪が理想
車いすによって自力走行が可能であり1人で排せつもできる場合
- 便座前方に85cm以上のスペースを設ける
- 便座後方は便座横に車いすが置けるように70cm以上のスペースを設ける
- トイレの出入り口は車いすが通れるサイズ80cm以上にする
- トイレ全体の面積は約0.75坪が理想
排せつ時、介助者のサポートが必要な車いす利用者の場合
- 便座前方に85cm以上のスペースを設ける
- 便座後方には介助者が前方から排せつをサポートしやすいように100cm以上のスペースを設ける
- トイレの出入り口は車いすが通れるサイズ80cm以上にする
- トイレ全体の面積は約1坪が理想
身体状況問わず共通のバリアフリーリフォーム
- 出入り口の段差をなくし、スライドしやすい引き戸を採用
- 万が一に備え、トイレの外側からカギが開けられるようにする
- 突然のトラブルにも対応できる非常ブザーを導入
- 出入り口の位置は便座後方または便座横に設ける
- 用途に合わせてI字、L字型の手すりを設置する
- 腰への負担軽減策として補高部材を利用または昇降便座を採用
- ヒートショック対策として壁面暖房器具を設置する
- 衛生的で転倒リスクを軽減できる床材を選ぶ
必要な箇所からバリアフリーリフォームを行いましょう。
さいたま市では将来を見据えたバリアフリー住宅へのリフォーム工事が人気となっています。
しかし、バリアフリーリフォーム工事をご検討されているご家族の多くが人気の高いキッチンやお風呂、トイレばかりに目が向いており、玄関や階段といった他の箇所のバリアフリー化を忘れてしまっていることも少なくありません。
四季彩ホームでは、ご家族の身体状況等をお伺いしたうえで将来的に必要となる箇所からバリアフリーリフォームができるようアドバイスを行っています。
バリアフリーリフォームでお悩みの施主様は、ぜひこの機会にご相談ください。